2022 Fiscal Year Research-status Report
末梢神経損傷後にシュワン細胞と血管内皮細胞間で働く接着分子の解明
Project/Area Number |
22K09330
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩橋 徹 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40852108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 啓之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (00432542)
村瀬 剛 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (50335361)
岡 久仁洋 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (50724085)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 末梢神経再生 / シュワン細胞 / 血管内皮細胞 / 接着分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず研究の第一段階として、未分化シュワン細胞と血管内皮細胞間の相互作用に働く因子を検索するため、in vivoのマウス坐骨神経損傷モデルにおける損傷神経のRNAシーケンスデータをNCBIより取得した。マウス坐骨神経損傷後初期での採取損傷神経から得られたデータをRstudio上で解析する事で、生体におけるシュワン細胞と血管内皮細胞間に働く接着分子候補を複数絞り込んだ(シュワン細胞側をA、血管内皮細胞側をBとする)。 また、これらの候補分子が実際に再生過程初期の神経において発現しているのかを確認するため、ラット坐骨神経の人工神経移植モデルを用いた。左坐骨神経を5mm切断欠損させ、人工神経を用いて架橋を行った。術後7日に検体を採取し、人工神経移植部の凍結長軸切片を作製、蛍光免疫染色を行ったところ、人工神経両端部から侵入してくるシュワン細胞の先端部に比較的限局してAが、同様に血管内皮細胞の先端部にBの発現が見られ、これらはそれぞれの細胞の未分化マーカー分子の染色範囲と概ね一致していた。つまり、遊走段階にある未分化な細胞でのみこれらの候補分子が発現している事が考えられた。ただ、それぞれの細胞あるいは候補分子の染色のため、使用する抗体の選定や染色方法の条件検討のために期間を要した。 これらの結果から、神経再生初期において神経断端から配列した血管内皮細胞に則してシュワン細胞が遊走する際には、AとBの相互作用が働いている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初はin vitroにおいて、シュワン細胞と血管内皮細胞の共培養実験でRNA-Seq解析により両細胞間の相互作用に関わる候補分子を抽出する予定であったが、今回はより生体内現象に近いin vivoのサンプルデータを用いる事により、より蓋然性の高い候補分子を抽出する事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
解明目標であった神経再生初期におけるシュワン細胞、血管内皮細胞間に働く接着分子の候補が絞れたため、それらが実際のラット神経損傷モデルにおいてどういった経時変化を辿るのかを確認し、以後のin vivo実験における評価時期を検討する。その上でこれら接着分子の阻害剤を投与する事により、神経再生過程にどのような影響が及ぶのか、実際に再生が抑制されるのかを確認する。また同時にin vitro実験において、候補接着分子でコーティングしたディッシュでシュワン細胞を培養し、細胞の遊走が促進されるのかを確認する。
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Causes of Carryover |
当初は培養細胞から抽出したmRNAを用いてRNAシーケンスをすることにより候補分子を抽出する予定であったが、今回過去の報告にあるシーケンスの結果を解析して候補分子を抽出しその妥当性の確認へと進めたため、差額が生じた。しかし、その分は過去の報告に無い評価時期での損傷神経のシングルセルシーケンス解析を自前で施行するために使用する予定である。
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