2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞系譜解析を用いたCD73発現細胞による骨髄ニッチ形成および骨修復機構の解明
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22K09346
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 健一 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (50633153)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 血管内皮細胞 / 細胞系譜 / 骨修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞 (MSCs) は、再生医療のツールとして骨疾患治療への実用化に向けた研究が進んでいるが、治療の有効性や作用機序が不明確である。そのため、MSCsの局在と作用を制御するニッチを理解することは、MSCsの生体内の機能解明につながり、安全で効果的な治療法確立へ貢献できると考える。 我々はこれまでの研究で、CD73がMSCをenrichする最適なマーカーであることを明らかにし、CD73を発現するMSCはin vitroでの高い増殖能、分化能、in vivoでの高い組織修復能を持つことを示してきた。さらに、骨髄ニッチにおいては、類洞血管内皮細胞 (SECs) においてもCD73発現が認められ、CD73が骨髄ニッチにおいて重要な役割を有することが示唆されている。 そこで、本研究では、タモキシフェン投与依存的にCreを発現するCD73-CreERT2マウスを用いて、骨髄のMSCsとSECsが果たす骨髄ニッチの形成とリモデリング機構を明らかにし、さらにはCD73を介したアデノシンシグナルが幹細胞やニッチ形成に与える影響を解明する。本年度はレポーターマウスを用いたCD73陽性細胞の系譜解析を行った。胎生期から成体期におけるタモキシフェン投与によって、CD73陽性細胞の発現時期、部位を明らかにした。また、タモキシフェン投与後のマウスにマウス大腿骨折モデルを作製し、骨修復能におけるCD73陽性細胞の細胞動態を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製したマウスの段階的なタモキシフェン投与により、CD73陽性細胞の発生時期、部位を特定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は免疫染色、遺伝子発現解析などにより、更なる細胞種の特定、他の間葉系幹細胞系譜モデルとの比較検討を行う。また、関節部位に多くのCD73陽性細胞が局在していたことから、骨修復のみならず軟骨損傷モデルによる解析も検討し、組織修復に対するCD73陽性細胞の生理学的意義について包括的に理解する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:研究試薬の代替品への転換を行ったため。 次年度使用計画:次年度以降の適宜執行していく予定である。
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