2022 Fiscal Year Research-status Report
Identification of a possible molecular mechanism causing an idiopathic osteolysis Gorham Stout disease
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22K09371
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
江面 陽一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50333456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 溶骨症 / 先天性骨系統疾患 / 遺伝子変異 / 骨欠損 / 破骨細胞 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の計画として(1)発端者に見いだされたGHM1ミスセンス変異について、統合的オミクス情報解析から結合因子を割り出し、その分子機能に基づく細胞情報伝達経路に関わる分子をリストアップした。破骨細胞と骨吸収機能に関連すると考えられた分子連係をもとに約90個の遺伝子について外部共同研究者の管理する既存症例における変異探索を依頼したが、該当する変異は同定されなかった。同様に(2)国内外で収集された症例のうち、すでに倫理審査の承認を終えた検体解析実施可能なものについて遺伝子変異の探索を依頼する計画であったが、該当症例が存在しなかった。以上のことから、我々が同定した新規GSD様症状を呈する本症例は、従来型のGSD症例とは区別すべき、きわめて特殊な新規疾患に罹患しているものと考えられた。(3)患者生体試料(細胞)培養系を用いた実験として、患者末梢血から得た単球分画を用いて、既知刺激に応答する細胞内GHM1切断の有無を検討した結果、変異の結果として予想された酵素切断の消失が証明された。以上の成果は、学術論文として原稿を完成しており、学術誌への投稿を行った。また上記知見に基づく分子機能の解析として、分子切断の消失が免疫応答全般に及ぼす機能変調と、破骨細胞の活性化に関わる新規機能の証明を目指したが、2022年11月に本症例の患者は突然死されたため、患者検体を用いた研究計画は終了となった。今後は実験動物としてマウスを用いた遺伝子導入系における検討を進める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)まず発端者に見いだされたGHM1ミスセンス変異について、統合的オミクス情報解析を行い、GHM1に結合する分子とGHM1の分子機能に基づく細胞情報伝達経路に関わる分子のリストアップを行い、破骨細胞および骨吸収機能との関連を想定される分子機能との連係を推定される数十個の遺伝子について外部共同研究者の管理する既存症例における変異探索を行ったが、該当する変異は同定されなかった。 (2)つぎに国内外で収集された症例におけるGHM1変異の有無を調べるため、まず国内研究者のうち、すでに倫理審査の承認を終えた検体解析実施可能なものについて計画(1)で作成した遺伝子リストについて遺伝子変異を探索する計画であった。しかし該当する症例が存在せず、新規変異をもつ症例は同定されなかった。以上のことから、我々が同定した新規GSD様症状を呈する本症例は、従来型のGSD症例とは区別すべき、きわめて特殊な新規疾患に罹患しているものと考えられた。 (3)患者生体試料(細胞)培養系を用いた実験から遺伝子変異に基づく機能変調とインビボにおいて想定される破骨細胞誘導系に及ぼす影響を明らかにする計画については、まず患者末梢血から得た単球分画を培養し、既知の刺激に対する細胞内における酵素切断の有無を検討した。同定された変異が、この酵素切断部位のアミノ酸置換を伴うためであるが、検討の結果、予想された酵素切断が変異によって消失していることを確認できた。 上記の成果をまとめて、学術誌への投稿を行っている。2023年2月の時点で査読の結果、いくつかの修正点を指示されており、5月までの再投稿へ向けてすでに準備を整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本症例の血液検体等を用いて培養系の検討を継続する計画であったが、2022年11月に本症例は亡くなられたため、今後は動物実験系を用いて検討を進める予定である。新たな共同研究者を加えて計画を進める。具体的には、本遺伝子変異をゲノム編集技術により導入した破骨細胞およびマウス個体を作成し、破骨細胞および骨成長、力学的負荷やホルモン抑制、炎症誘発などによる骨吸収誘導に対する生理的応答の変調を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究遂行は、前年度までに進めていた準備段階ですでに必要な試薬と機材等が整えられていた。また国内共同研究者に依頼した変異探索等にあたり、当方が負担すべき費用が生じなかった。さらに来年度以降に計画している遺伝子改変動物に関する準備は、学内書類申請上の都合で開始できなかったため、今年度の経費使用が抑えられた。これらの経費は次年度に有効に利用できるため、本研究遂行上の問題とならない。
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