2023 Fiscal Year Research-status Report
脊柱後弯症における傍脊柱筋内酸化ストレスの病理的意義の解明
Project/Area Number |
22K09409
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
野尻 英俊 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (10317456)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 傍脊柱筋 / 筋力低下 / 女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
傍脊柱筋の酸化ストレスと脊椎アライメント、骨格筋パラメータ、ミトコンドリア機能との関係を調査するために腰椎手術患者から多裂筋をサンプルとして採取し分析した。酸化ストレスや脊柱アライメントに影響を及ぼす疾患を持つ患者は除外した。筋肉内のスーパーオキシド(発光強度)とSOD2(蛋白量)の比をSOD2レドックス指数(SOD2RI)と呼び、酸化ストレスの指標とした。35名(男性22名:平均57.9歳、女性13名:平均70.2歳)の腰椎手術患者から採取し、対象となった。SOD2RIの平均値で2群に分け、脊椎アライメント、骨格筋パラメータ、SDH染色強度(SDHmgv)を2群間で比較した。2群間で有意差を示した変数については、重回帰分析により年齢による交絡を調整した。女性においてSOD2RIが高い群は低い群と比べて、腰椎前弯が大きく(P<0.05)、握力が低く(P<0.01)、SDHmgvが高かった(P<0.01)。また重回帰分析の結果より、女性患者においてSOD2RIは腰椎前弯、握力、SDHmgvの独立した説明変数であった。これらの結果から女性の腰椎変性疾患患者において、傍脊柱筋のSOD2関連酸化ストレスはミトコンドリア機能障害および握力低下と関連していることが判明し、骨格筋のミトコンドリアにおける酸化ストレスの上昇は、筋量低下よりも筋質低下と関連しており、多裂筋の筋力低下に酸化ストレスの関与が示唆された。 以上のことを第38回日本整形外科学会基礎学術集会にて発表した。今後、第97回日本整形外科学会学術総会にて口演予定である。また、本研究をまとめたものが英文誌に掲載された(Takahashi R, Nojiri H, et al. J Orthop Res. 2024)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
査読のある英文誌に受理され、掲載されたこと(Takahashi R, Nojiri H, et al. J Orthop Res. 2024)、学会での発表も複数行っていることから順調に進んでいるものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
採取した血液や尿のサンプルから酸化ストレスマーカーを測定し、既に計測した運動機能評価や脊椎アライメント、バランスとの関連性を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は消耗品の使用が少なかったこと、学会参加費用が抑えられたこと、また論文をオープンアクセスにしなかったことから使用額が減少した。次年度は酸化ストレス測定の検査費用がかかること、学会発表をより積極的に行うことから支出の増額が見込まれる。
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