2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of urinary tract reconstruction without suturing
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22K09456
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山田 剛司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20453095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 敦子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20457980)
井上 裕太 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20898499)
内藤 泰行 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50405312)
浮村 理 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70275220)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 尿路再建 / 尿路吸収性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
◆ 2022年度計画 すでに開発済みの尿路で吸収されるチューブを鋳型にして、吻合する尿路同士を固定すると共に、開発済みの新規医療用接着剤を併用することで、新しい尿路再建法の実現性を確認し、さらに、吸収性チューブの質的な改善を図り、吸収期間のコントロールを試みる。 上記の計画に従って、我々は二つの尿路吸収性物質を用意した。 物質1)L-乳酸/ε-カプロラクトン共重合体(LCL)組成:CLA:CCL = 75:25 mol% 重量平均分子量(Mw):400,000 - 800,000 物質2)ポリ-p-ジオキサノン(PPDO)インヘレント粘度(ηinh) : 1.5 - 1.8 (dL/g) [0.8 g/dL HFIP, 30 oC]。 これらPPDOとLCLを用いて、上記計画に従って、まずはこの吸収性物質の尿路の中で吸収されるスピードと吸収されていく過程において起こりえる副事象について観察することを目的に初期実験を計画した。実験動物は実験用ウサギ(体重3-4Kg;6匹)を用いて実験をおこなった。ウサギを全身麻酔下に膀胱を開放して、常に尿に吸収性物質であるPPDOとLCLがそれぞれ独立して尿に暴露されるようにこの二つの物質を膀胱内に固定した。固定後、2週間 4週間、8週間で膀胱内を観察した。2週間では、物質に変化なく吸収される様子も確認されなかった。重量にも変化は確認されなかった。一部、吸収性物質に薄く尿路結石の付着が見られた。4週間後、LCLが、原型を崩し一部に吸収された様子が確認されたが、結石と混ざっており、その吸収性物質の吸収された重量を計測はできなかった。8週間後では、PPDO,LCLともに、表面が一様に尿路結石で覆われてしまう現象が確認され、尿に暴露されるという現象を妨げる様子が確認された。丁寧に尿路結石と物質を分離する作業をして物質の吸収された重量を計測したが重量的に有意な変化は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究において、判明したことは、吸収性物質の級数されるスピードが遅いことである。つまり、吸収され尿路内で消滅するまでの期間を短くする必要があることである。4週間で、吸収され形が崩れはしていたが、まだ尿路内に存在していたため、その物質が核となり尿路結石で表面が覆われてしまう現象が確認された。このことは、臨床上ヒトでも想定範囲内の現象であり、本研究において重要な事象であると考えている。しかし、動物間での尿路結石のできやすさの違いがあるとも考えられ、実験系の見直しが必要であるが、今年度としてはおおむね順調に計画が進み、必要な課題の抽出もできたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年後の結果から判明した重要な課題は、吸収性物質の吸収されて尿路内で消滅するまでの期間を短くするように、組成をみなおすこと。この点においては実験室レベル(in vitro)で可能である。 もうひとつの課題は、尿路結石の形成との取り組みと実験系の見直しである。尿路内に異物が存在することで発生する尿路結石の形成については、ヒトでも起こりえる想定範囲内の事象で、かつ本研究のいわゆる解決すべき重要な項目であるとも考えている。また、動物間での結石の形成のできやすさの違いもおおいにあり得ることであり、実験系をウサギから他の動物に変更する予定である。現実的には、ラットやマウスによる研究の継続を想定している。
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Causes of Carryover |
[次年度使用額が生じた理由] 研究の進行状況に応じて必要となる吸収物質の開発費用や、動物実験がウサギでの結果をもって重要な結果を得たとはいえ、今年度は実験に係る使用額が、当初の計画に比べ少額で済んだため。 [翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画] 申請時の使用計画に従い研究を進行するが、動物実験系の見直しにかかる費用や、吸収物質の改良に係る実験用試薬・消耗品及び旅費・論文投稿料・学会参加費等に使用する予定である。
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