2022 Fiscal Year Research-status Report
尿路上皮癌の腫瘍血管微小環境の不均一性に着目したバソヒビンによる革新的治療戦略
Project/Area Number |
22K09459
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮崎 保匡 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (80445329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30445407)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 血管新生 / バソヒビン / 癌化 / 上皮間葉転換 / がん微小環境 / 抗体療法 / 血管新生阻害剤 / 免疫チェックポイント阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
①尿路上皮癌は腎盂尿管癌と膀胱癌があるが、膀胱癌については初回の治療として経尿道的腫瘍切除術が行われる。経尿道的膀胱腫瘍切除術で内視鏡的に切除された膀胱癌のヒト手術検体を免疫染色によってバソヒビンを染色して評価することによって、バソヒビンの発現について癌微小環境におけるバソヒビンの局在を研究した。手術検体を解析することで同一のヒト手術検体におけるバソヒビン1,バソヒビン2発現に対する局在の違いを比較検討できると考えられ、膀胱癌における免疫染色を行った。バソヒビン1は、癌微小環境にいて血管内皮細胞に特異的に染色がみられ、癌細胞自体には発現が見られなかった。バソヒビン2は、癌微小環境における血管内皮細胞と腫瘍細胞に染色がみられた。 ②各種膀胱癌細胞株と血管内皮細胞株(HUVEC)におけるバソヒビン1,バソヒビン2の発現をウェスタンブロット、細胞蛍光免疫染色にて検討して発現の違いを比較検討した。 ウェスタンブロット法では、バソヒビン1は主に血管内皮細胞に発現していたが、膀胱癌細胞では殆ど発現していなかった。バソヒビン2は血管内皮細胞と膀胱癌細胞株で発現を認めた。細胞蛍光免疫染色においても同様の結果であった。バソヒビン1とバソヒビン2の発現には違いがあり、同様の発現をしていないことから癌微小環境における細胞間での血管新生の異質性を反映していると考えられた。今後さらに症例数を増やして予後との関連も検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バソヒビン2において未だに解明されていない発現調節機構を検討し、バソヒビンを中心とした新しいバイオマーカーの開発や、癌血管の不均一性に着目した、癌細胞と活性化した血管内皮細胞を標的とした次世代の尿路上皮癌治療薬の臨床応用に展開するための基盤研究及び腫瘍の免疫応答を標的とした分子機構の解明を目指すため研究を行っている。遺伝子レベルでの発現調節を解明するためにマイクロアレイによる発現分析が今後必要であり、得られた結果から候補遺伝子について再度、病理検体や細胞での評価も必要となると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、マウス皮下腫瘍モデルを作成し、バソヒビン1,バソヒビン2を標的とする薬剤や既存の治療薬を投与して癌細胞における血管新生と腫瘍治療効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
実験室に残存していた共用の試薬を一部の実験に用いたため、一部試薬費用が残ったため。次年度に試薬の購入費用として用いる予定である。
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