2022 Fiscal Year Research-status Report
大脳における排尿関連細胞の選択的操作とそのプロファイルの探究
Project/Area Number |
22K09496
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
志村 寛史 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (70755842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 宏威 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20324189)
三宅 邦夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60550712)
武田 正之 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (80197318)
三井 貴彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90421966)
瀬川 高弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (90425835)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 排尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまで下部尿路機能障害の治療のターゲットとして介入することが困難であった中枢神経を機能的に選択して操作することと、そのような神経細胞の特性を把握することである。神経細胞における機能的な選択を可能にするのが、本研究で用いるTRAP(targeted recombination in active populations)という手法である。FosCreERT2(TRAP2)マウスは、タモキシフェン(4-OHT)を投与した間に神経活動によりFosが発現すると、DNA組み換え酵素のCreを発現する。ここにCre依存的に任意の遺伝子を発現させると、その時にFosを発現させていた細胞のみがその遺伝子発現を保つことが可能となる。その神経活動を”排尿活動”とさせて種々の実験を行う予定であった。 しかしながら、FosCreERT2(TRAP2)マウスを購入、搬入するにあたって2022年度はいくつかの障害があった。当施設の動物舎の建て替えのためや、新型コロナウイルスやウクライナ侵攻の影響のため、マウスの購入や検疫、施設への搬入までにおおよそ1年を要した。さらに現在交配、繁殖に着手している状態であるため、FosCreERT2(TRAP2)マウスを用いた実験はできていない。 その代わりとして、cFos-GFPマウスを用いて実験系の下準備を進めた。cFos-GFPマウスにおいて、前帯状皮質(ACC)におけるcFosの発現が目立っていることが確認された。ウレタン麻酔下に膀胱瘻を造設し、その後覚醒させ数週間後も生存し膀胱内圧測定が可能であることを確認した。以上から、麻酔下に持続膀胱内灌流により排尿に関連する神経細胞の活動を一時的に上昇させ、その後安定して飼育できることを確認できており、TRAP2マウスで行うことが理論上可能であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画書では2022年度ではFosCreERT2(TRAP2)マウスを用いて、排尿時に活動する神経を標識し、標本上でどのような領域に発現しているか検証できれば良かったが、マウスの購入や検疫、施設への搬入までにおおよそ1年を要してしまったため、その進捗は遅れている。その代わり、TRAPマウスによる実験とは別で、抑制性細胞のみの神経活動の観察や、これまでの研究データの再解析などを進めた。2023年度以降はマウスの繁殖、成育が進み、予定していた実験が進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書では2022年度でTRAPマウスを用いた実験を開始している予定であったが、マウスが間に合わずそれらは実施できていない。時間的な進捗状況の遅れはあるが、予定していた内容をマウスの準備が出来次第進めていくことに変わりはない。
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Causes of Carryover |
当該年度は実験の必要なマウスの搬入成育の遅延があったため実験の進捗が遅れている。そのため、研究に必要な資金を来年度以降に持ち越して使用する必要が出たため。
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