2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒューマノイドロボットハンド応用による次世代型泌尿器科ロボット手術の提案
Project/Area Number |
22K09511
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
石坂 和博 帝京大学, 医学部, 教授 (60168218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
漆原 正泰 帝京大学, 医学部, 講師 (30420798)
向井 正哉 東海大学, 医学部, 教授 (40229919)
加藤 龍 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70516905)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | A humanoid robot hand / A 3-fingered robot hand / Robotic surgery / Less invasive surgery / Urological surgery / Primary/replica system / da Vinci surgery / Biomedical engineering |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,手術補助を行う助手用ヒューマノイドロボットハンドシステムを開発し,現状の泌尿器科領域ロボット支援手術の手術効率を飛躍的に改善する新たな術式を探求することを目的とする.令和4年度の研究成果は以下の2点である. ①20㎜孔から挿入可能な幼児手大の3指型ヒューマノイドロボットハンドのプロトタイプを試作した.300gの臓器の保持把握,薄膜組織の摘み,術野確保のための圧排や下方からの臓器支持可能である.また,掌部のベローズ折畳機構により広げると95×33×4mmの大きさだが,畳むと幅18㎜になる.また,手首機構は3自由度関節を有する.これらを手術助手の手に外骨格型操作インターフェースを装着しリーダーフォロアー制御によりヒトの手の動きのように操作可能である.このハンドを760×18㎜のアームにとり付け,その外側端を助手が右手で把持することにより体外から操作できるようにした. ②本ハンドシステムの手術での有効性を検証するため,術者が操作するda Vinciとの体内外における干渉を考慮したポート配置の検討を行った.前立腺手術においては,助手は患者頭側におり左手ハンド操作をすることにより,干渉なく稼働可能であることが確認された.腎手術においては,側臥位で右腎手術をするドライボックスの状況として,左手用ロボットハンドを右下腹部から挿入することにより,患者背面からドッキングしたda Vinciと同時に作動可能であった.ハンドが手術補助を完遂できる大きさと機能であることが確認された.腹腔および骨盤内モデルドライボックス内に,布とスポンジで縫製した実寸大の臓器モデルを設置し,前立腺全摘と腎部分切除との術式について,医師・工学者からなる研究プロジェクトでda Vinciを併用した数回の実地検証を踏まえて効率の良い術式を模索した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗状況としては,当初の予定に対して,助手用ヒューマノイドロボットハンドシステムも第一試作が完了し,概ね順調に達成できていると考える.今年度に試作したロボットハンドについて,前立腺および腎に対するロボット手術での多数経験やハンドアシスト法による腎臓や膀胱の手術経験,更には,開創手術における手を用いた前立腺処理にも多数の経験があることから,機能設計段階で,ハンドの大きさや関節の可動性などの見積もりが的確であり,助手としての「ハンド」の動かし方の提案も適切であったと考えられる. また,手術室でのda Vinciと助手の位置,トロッカーとロボットハンドの配置を数回の実験のみで決めることができたが,腹部骨盤のドライボックスの使用,内部においた実寸大の自作の臓器モデルが優れており,また,手術室やda Vinciシステムが,臨床工学士の協力も含めて使用しやすい環境にある研究を支援する施設であることも進捗の理由として大きい. その一方で,本システムを用いた前立腺全摘と腎部分切除との術式の検討について十分な検討時間を取ったため,今年度予定していた第2次試作は次年度に繰り越すこととし研究予算の繰り越しを行った.2次試作では,臓器圧排や臓器把持の機構的な強度・精度向上や制御系の高度化を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
①ロボットハンドについては今後,助手の片手に装着して操作できるよう操作インタフェイスおよび保持機構の改良を実施する.また,臓器の把持について指先位置の制御精度を向上させ,把持性能の向上を目指す.更に,今後の動物実験及び実用化を念頭に置き,手術用トロッカー最大径16mmの孔を通るよう更なる細径化も検討する.また,ハンドの牽引ワイヤーにかかる負荷から操作インターフェースを通じて力覚をフィードバックする機構の実現やハンド位置を決めるアーム部のロボットアーム化のためのマニピュレータ開発へ進む予定である. ②今後手術室でのドライボックス実験で,da Vinci+助手ハンド操作と現行の助手操作とを点数化して比較し有用性を立証する.現有のプロトタイプには動作に癖があるが,助手実施者の優秀性により意図に関わらぬ補正で手術実験が良好に進んできた可能性があり,反復試験が必要である.その後ドライボックスモデルで,肥大臓器,内臓脂肪過多モデルでの評価を行う予定である. ③動物手術(腹腔鏡手術)による助手用ロボットハンド使用の有効性検証を行うため,帝京大学溝口病院の動物実験施設が実質休止となり,麻布大学との共同研究化を進めている.折り畳み機構のためハンドの3本指はヒトと異なり平板型なので,臓器の操作が有効かつ安全に遂行できるのか,実験動物による検証は不可欠である.倫理委員会の実験に関する承認を得て,全身麻酔下で豚臓器摘出手術を行い,助手ロボットハンド使用の有無により比較検討する.ハンドの細径化が間に合わない場合は,市販のリトラクターに手術用手袋を装着して挿入し気腹手術を遂行する.
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Causes of Carryover |
令和4年度については,以前より手術利用を企図したヒューマノイドロボットハンドを既に作成し,ロボットHALSとしての新手術手技確立の研究を先行して行ってきた実績から,ロボットハンドの1次試作の完成度が高く,本システムを用いた前立腺全摘と腎部分切除との術式の検討について十分な検討時間を取ったため,今年度予定していた第2次試作は次年度に繰り越すこととしその諸経費を次年度に繰り越した. 2次試作では,臓器圧排や臓器把持の機構的な強度・精度向上や制御系の高度化を目指す.
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Research Products
(2 results)