2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of renal spontaneous immune tolerance focusing on plasmacytoid dendritic cells - therapeutic strategies for induction of human renal immune tolerance
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22K09514
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
篠田 和伸 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60348737)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 免疫寛容 / 制御性形質細胞様樹状細胞 / siglec-H / 腎移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マウス腎移植モデルにおいて、免疫抑制剤無しでアロ抗原に対する免疫寛容が成立する「腎自発免疫寛容」のメカニズムを解明することを目的としている。先行研究で、制御性形質細胞様樹状細胞(制御性pDC)がアロ腎移植モデルにおいて腎自発免疫寛容成立のために重要であることが示唆されたが、特にそのマーカーの一つであるsiglec-Hに着目し研究計画を立案した。本年度はpDC特異的にジフテキアトキシンレセプター(DTR)を組み込んだ遺伝子改変マウス(Siglech-DTR)を繁殖する予定でいた。このマウスにジフテリアトキシンを投与することでpDC(Siglec-H陽性細胞)を特異的に消去することが可能であり、腎自発免疫寛容のメカニズムにおけるpDCの役割をより詳細に評価することができる。実験進捗状況としては、マウス腎移植モデルをIsogfraftを用いて多数の腎移植を行い、約80%程度の高い成功率が得られている。siglech-DTRの繁殖を始めたばかりで、まだ実験に十分な匹数が揃っておらず、本実験までは進められていない。また、免疫応答評価を評価する目的の混合リンパ球試験(MLR)に関しては、Responder細胞をCFSE染色して、4-6日目の免疫応答後の分裂細胞割合をFlowcytometryで評価を行った。Stimulatorとしてビーズ(CD3, CD28)とアロ細胞を用いたdirect pathway反応は十分に評価できる結果を安定して出せている。また、ドナー腎臓からの抽出タンパクを用いて、stimulator、responderともにレシピエント由来細胞を用いるindirect pathway反応の実験系も立ち上げた。こちらに関してはまだ安定した結果が出ていないため、引き続き実験系の確立に向けて検証を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も昨年度に引き続きin vivoでは、マウス腎移植モデルをisograftを用いて行い、昨年度よりも高い確率の成功率を得ることができた。しかしながら、遺伝子組み換え動物飼育室の都合で、本研究で用いるSiglech-DTRマウスの繁殖をやっとスタートしたばかりのため実験に必要な飼育数がまだ得られていないのが現状である。In vitro実験系に関しては、新たにindirect pathway MLR反応実験系を立ち上げた。ドナー腎臓を、超音波破砕装置、コラゲナーゼを用いてタンパクを抽出し、それとレシピエント樹状細胞、T細胞を用いて反応を見る実験系である。まだ安定した結果を出すには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、Siglech-DTRの繁殖を安定させ、allograftを用いた腎移植実験系を開始し、in vivoの本実験を開始し、安定した実験結果を出すことを最優先目標とする。対象としてTGマウスではないallograftモデルの腎移植も行い、結果を比較検討していく。In vitroアッセイでは、CFSE-MLRによるDirect Pathwayの免疫応答反応の検出はほぼ問題なくできるようになったため、アロ臓器蛋白を用いたIndirect Pathwayによる免疫応答反応検出の系を安定した結果を出せるように確立していくことを最優先課題とする。
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Causes of Carryover |
本年度は実験に必要な数のマウスの繁殖に至らなかったため、投与するジフテリアトキシンやpDC(Siglec-H陽性細胞)を検出するための試薬を購入しなかった。次年度にこのための予算として使用する。
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