2022 Fiscal Year Research-status Report
脂肪酸伸長酵素ELOVLによるリポクオリティ制御を介した腎癌進展メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K09517
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新田 聡 筑波大学, 医学医療系, 客員研究員 (20887111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神鳥 周也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50707825)
松坂 賢 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70400679)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腎癌 / 脂肪酸伸長酵素 / ELOVL2 / ELOVL5 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質は生体膜成分、エネルギー源、シグナル伝達分子(脂質の三大機能)として生体内で重要な役割を果たしている。脂質の主成分である脂肪酸は鎖長や不飽和度の違いによりその組成、いわば脂質の「質」(リポクオリティ)が変化し(質的変容)、脂質の生理活性に影響を及ぼすことが知られている。腎癌の約80%を占める淡明型腎細胞癌(ccRCC)では脂肪酸伸長酵素であるELOVL2とELOVL5の発現が高く、多価不飽和脂肪酸が豊富であるが、この脂質の質的変容による生物学的意義は不明である。我々はこれまでにELOVL2とELOVL5がAKTシグナル経路や脂肪滴の産生を促進し、ccRCCの増殖や生存に寄与するという研究成果を得ているが、その詳細なメカニズムは未だ十分に解明されていない。本研究ではccRCCにおいて、ELOVL2とELOVL5による脂質の質的変容とAKTシグナル経路や脂肪滴との機能的関連性と、それを介して、がんの生存・増殖に影響するメカニズムを明らかにすることを目的とする。 これまでに、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン腎癌細胞株(786-O)を用いて解析を行ってきた。マトリゲルインベージョンアッセイ、WST-8アッセイの結果から、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン細胞株では細胞浸潤と細胞増殖が抑制されることが明らかとなった。また、RNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析の結果から、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン細胞株では細胞運動や細胞生存に関わる分子の発現が低下していることが示唆された。実際に、qRT-PCRとウエスタンブロット解析により、これらの細胞運動や細胞生存に関わる分子の発現がRNAおよびタンパクレベルで低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン腎癌細胞株(786-O)を用いて解析を行ってきた。マトリゲルインベージョンアッセイ、WST-8アッセイの結果から、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン細胞株では細胞浸潤と細胞増殖が抑制されることが明らかとなった。また、RNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析の結果から、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン細胞株では細胞運動や細胞生存に関わる分子の発現が低下していることが示唆された。実際に、qRT-PCRとウエスタンブロット解析により、これらの細胞運動や細胞生存に関わる分子の発現がRNAおよびタンパクレベルで低下していた。 一方で、ELOVL2とELOVL5により多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸が合成されるが、GC-MSを用いて腎癌細胞株における多価不飽和脂肪酸が十分に測定できず、現在はさまざまな測定条件下でGC-MSによるこれらの脂肪酸の測定を試みている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析の結果から、ELOVL2およびELOVL5ノックダウンにより発現が低下する細胞運動や細胞生存に関わる分子とAKTシグナル経路や脂肪滴との機能的関連性を評価していく。 脂肪酸の測定については、GC-MSによりアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸の測定をさまざまな測定条件下で試みている。これらの脂肪酸の測定が可能となれば、GC-MS/MSや質量顕微鏡などを使用し、AKTのリン酸化に関与するイノシトールリン脂質を含むリン脂質や脂肪滴の主成分である中性脂質における脂肪酸組成の解析も行っていく。
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Causes of Carryover |
当初の予定通りの脂肪酸組成の解析等が進んでおらず、それに関する消耗品の購入が出来ていないため。新年度に入り次第、解析を進めていく。
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Research Products
(1 results)