2022 Fiscal Year Research-status Report
急性腎不全における好中球酸化ストレスが規定する接着分子制御機構の解明
Project/Area Number |
22K09527
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
丸山 雄樹 岡山大学, 大学病院, 助教 (00803850)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 元朗 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90467746)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 腎虚血再灌流障害 / 好中球 / リアルタイムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
急性腎障害(AKI)において腎血流低下に伴う虚血・低酸素状態による障害は、糸球体および尿細管間質の不可逆的な組織学的変化をもたらす重大な病態であるが、有効な治療法がないのが現状である。組織障害の増悪には好中球が主要な役割を担っており、我々はこれまで、腎虚血再灌流障害における好中球動態を解明するべく生体マウス腎での好中球 in vivoリアルタイムイメージングを確立した。
好中球は血管内皮細胞との相互作用により血管外移動する事で炎症局所へ浸潤する。その一連の過程には、好中球の捕捉・ローリング・接着・遊出があり、セレクチンファミリーや、インテグリン、血管内皮細胞上の接着分子であるICAM-1, VCAM-1を介して制御される。腎組織に浸潤した好中球は活性酸素種を産生し、強力な炎症を惹起し血管内皮機能維持に重要なNOが欠乏する。本申請研究では好中球浸潤を制御するために最適な酸化ストレス処理機構および接着分子阻害法を我々の革新的イメージング法を用いて解析し、新規腎障害治療薬としての基盤確立と革新的創薬への展開を目指す。
本年度は、血管内皮障害モデルマウス(eNOS-KO)を用いたリアルタイムイメージングを行い、血管内皮障害を有する場合の好中球浸潤の増悪のさらなる解析および、ICAM-1, VCAM-1の発現差異の検討を行った。次年度は、E-selectinを始めとするセレクチンファミリーの阻害・ICAM-1の阻害による腎組織障害の軽減をin vivo, in vitroにおいて検討を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎虚血再灌流障害モデルを用いて、血管内皮機能障害の有無による好中球浸潤の増悪を解析し、糸球体障害や腎機能への影響を解析し、接着因子であるICAM-1, VCAM-1の発現にもたらす影響を解析するなど、一定の成果を得る事ができた。一方で、好中球の捕捉・ローリングに関与する各セレクチンの発現解析や阻害による腎障害に与える影響に関しては、本年度内の研究で検討することができなかった。そのため、やや遅れている、と判定した。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、腎虚血再灌流障害モデルを用いて、好中球動態に着目したin vivo リアルタイムイメージングを実施し、腎組織内のROS, NOのイメージングも実施し、好中球による酸化ストレス増悪メカニズムの研究基盤を構築したい。さらに、各セレクチンと接着因子(ICAM-1,VCAM-1)の双方を阻害することによる、好中球浸潤の軽減効果に関しても検証していく予定である。
|
Causes of Carryover |
各セレクチンや、CD147, NOS阻害物質であるADMA等の阻害による腎障害・酸化ストレスの解析まで至らなかったため、未使用額が発生した。次年度はこれらも踏まえ、リアルタイムイメージングを加えながら、好中球による酸化ストレスの制御基盤の解明をすすめていく。
|