2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K09528
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 陽一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (10363160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 清威 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (20866553) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 男性不妊症 / アンドロロジー / ゲノム / 遺伝子改変動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
男性不妊症の新規原因遺伝子の同定と治療法の開発を目的として検討を行った。新規原因遺伝子の同定については、これまでに46名の非閉塞性無精子症患者さんからDNA試料を収集し、次世代シーケンス解析を行った。得られた塩基配列をヒト参照配列にマッピングし、アレル頻度1%以下のタンパク質の機能に影響を及ぼす変異を絞り込んだ。変異がある遺伝子について精巣での発現や精巣内での局在をThe Human Protein Atlasで調べた結果、精巣で機能していそうな候補遺伝子として、4人に共通していた遺伝子が4個、3人に共通していた遺伝子が12個あった。一般日本人のアレル頻度から算出するとオッズ比は7以上であり、新規原因遺伝子の可能性が考えられる。また、Y染色体上の無精子症候補領域内に遺伝子コピー数と男性不妊症との関係を調べた結果、DAZ領域の欠失が男性不妊症と有意な関連を示すことを明らかにした。 治療法の開発については、精子濃度と関連を示唆したAKR1C3遺伝子をターゲットとした化合物の探索を目指した。ドラッグリポジショニングによりAKR1C3活性を阻害する化合物と誘導する化合物を1つずつ選んだ。これらの化合物をラットに30日間経口投与し、投与後、精子数、精子運動率を測定した。その結果、AKR1C3活性を阻害する化合物はコントロールと比較して精子数を低下させた。一方、AKR1C3活性を誘導する化合物は精子数を増加させたことから、この化合物は男性不妊症の治療薬として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
46名の非閉塞性無精子症患者を対象とし、原因遺伝子の同定を進めた結果、候補変異を抽出することができた。また、精子濃度と関連性を示唆したAKR1C3遺伝子をターゲットとした化合物の精子形成に与える影響を検討した結果、AKR1C3活性を誘導する化合物は精子数を増加させることを明らかにした。これらの成果について論文発表や学会発表にも至っているため、おおむね順調に進展していると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
男性不妊症の新規原因遺伝子の同定と治療法の開発を目的とし、今後は以下の検討を行う。 1.男性不妊症の新規原因遺伝子の同定:抽出した候補遺伝子について、本当に精子形成に影響を与えているのかどうかを明らかにするため、実験動物や培養細胞などを用いてメカニズムを解析していく。 2.治療法の開発:AKR1C3のプロモーター領域をクローニングし、pGL4レポーターベクターに組み込んだハイスループットスクリーニング系を構築する。およそ1500化合物についてAKR1C3プロモーター活性を上昇させる化合物をスクリーニングする。スクリーニングより見つかった化合物をラットに投与し、投与後の精子形成能力を観察する。
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Causes of Carryover |
理由:次世代シーケンス解析について、サンプルを複数まとめて解析したほうが効率が良いと考え、その他の費用を使用せず、次年度使用額が生じた。
次年度の研究費と合わせて、次世代シーケンス解析などに使用する予定である。
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