2022 Fiscal Year Research-status Report
腎癌関連血管内皮細胞におけるPSMAの発現制御機構及び、その分子機能の解明
Project/Area Number |
22K09529
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菊川 忠彦 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (70444734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
雑賀 隆史 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (10314676)
渡辺 隆太 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (00813635) [Withdrawn]
三浦 徳宣 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (80554427)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腎がん / PSMA / 質量分析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、質量分析を基盤技術として、腎癌細胞由来MVによる正常血管内皮細胞でのPSMA発現誘導機構とPSMA陽性血管内皮細胞の質的変化を解明することで、腎癌増殖・転移に関する新しい知見を得ることにある。 そこで令和4年度では、腎癌細胞株の培養上清中を、正常血管内皮細胞であるHUVECの培地中に添加し、PSMAの転写が誘導される事を確認したところHUVECにおいてPSMA発現が見られることを見出した。特に10,000 x g pellet画分において、その発現は顕著であった。PSMA陽性になったHUVEC においてtube formation assayを施行したところ、血管新生が亢進していることを確認した。さらに、PSMA陽性になったHUVECを用いてRNAシーケンスを行ったところ血管新生関連のシグナル系が亢進していた。 また、本研究の学術的独自性は、腎癌組織内においてPSMAを強発現する腎癌関連血管内皮細胞は多数あるという信頼できる臨床的報告に基づいているが、実際に我々も腎癌の摘出検体27例を用いて、腎癌腫瘍周囲血管におけるPSMA発現を免疫染色にて検討した。腫瘍周囲血管細胞におけるPSMAの発現を、weak, moderate, strongに分け検討したところ其々、11例、7例、9例であった。観察期間中に6例が再発し、腎癌腫瘍周囲血管でのPSMA発現が高い群で予後が不良であった。この結果は、腎癌周囲血管でのPSMA発現が腎癌の予後予測因子と成り得る可能性を示唆している。 現在、腎癌組織形成における分子機能や腎癌周囲血管内皮細胞におけるPSMA強発現が意味する事を解明するために、腎癌細胞株の培養上清の1万g pelletを質量分析し複数のGrowth factorが含まれているのを確認しておりこれらの機能解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度では、腎癌細胞株の培養上清中を、正常血管内皮細胞であるHUVECの培地中に添加し、特に10,000 x g pellet画分においてPSMAの転写が強く誘導される事が確認できた。PSMA陽性になったHUVECは、tube formation assayにて血管新生が亢進しており、RNAシーケンスにて血管新生関連のシグナル系の亢進も確認した。また、臨床検体において腎癌腫瘍周囲血管でのPSMA発現が高い群で予後不良である知見も得た。これらの結果は、腎癌周囲血管でのPSMA発現が腎癌の腎癌増殖・転移に関与している可能性を示唆しており、我々の当初の計画通り遂行出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
腎癌周囲血管内皮細胞におけるPSMA強発現が意味する事を解明するために、腎癌細胞株の培養上清の1万g pelletを質量分析し複数のGrowth factorが含まれているのを確認している。このGrowth factorをそれぞれについてPSMAの発現を誘導する因子と成り得るかにつき検討を行い同定する。同定できた際には、当該因子を直接阻害する阻害抗体や核酸アプタマー、腎癌由来のMVのHUVECへの取り込みを阻害する化合物を探索・同定し、新規抗血管新生医薬品のシーズ化合物として開発していく計画である。
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