2022 Fiscal Year Research-status Report
胎児血液中の脂質プロファイルが胎盤発達と乳児の身体及び神経発達に及ぼす影響
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22K09544
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
谷口 千津子 浜松医科大学, 医学部附属病院, 特任講師 (20397425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 宏晃 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70263085)
幸村 友季子 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80537415)
磯村 直美 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (80647595)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 胎盤 / 乳児発達 / 脂質プロファイル / 胎児血液 |
Outline of Annual Research Achievements |
母体の栄養状態、ストレス、合併症、炎症など様々な因子による子宮内環境の変化は、胎児の諸臓器の発達に影響し、これによる種々の子宮内環境は出生後の発育、健康、疾患発症リスクに影響を及ぼすことが明らかとなってきている。胎児が発育する環境下にあって共に発達する胎盤は胎児最大の臓器と言われ、妊娠母体の様々な健康異常のみならず胎児の健康異常は胎盤の構造や機能に大きな影響を及ぼし、胎盤組織には病理所見として特異的な痕跡をとどめている。本研究では、胎児血中の脂質組成の特色(脂質プロファイル)は胎盤病理所見、乳児期の発育・発達と相関し予測因子となるという仮説を想定し、先行研究で対象とした、浜松出生コホートの中で胎盤が保存されていた258名の症例につき、現在も保存されている臍帯血血清を用いて脂質プロファイルの解析を行い、胎盤病理ならびに乳児期の身体及び神経発達との相関を解析を行っている。 浜松出生コホート参加承諾を得た参加者のうち胎盤病理組織検査を行った対象症例258名の生後48カ月までの直接面接による発達検査をMullen Scales of Early Learningによる神経発達評価及び身長・体重から計測される体格指数を指標とした身体発達のデータを得、統計学的解析による検討を行っている。胎盤組織についてはAmsterdam placental group consensus statemntに則って組織解析を行い、正期産分娩において出生した児は生後10か月までは母体血管灌流異常、特に絨毛過成熟といった慢性的な子宮内低酸素を示唆する所見が体重を減少させる因子であることが明らかになった。また同様に子宮内で慢性的な低酸素状態を示唆する所見で神経・運動発達のスコアであるMSELスコアは減少を示し、炎症を示唆する所見でスコアの上昇を認めることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は胎盤組織の解析を先行研究に加えてさらに詳細に解析を行い、258症例の胎盤病理所見はAmsterdam Consensus Statementに準拠して診断し正期産分娩において出生した児は生後10か月までは母体血管灌流異常、特に絨毛過成熟といった慢性的な子宮内低酸素を示唆する所見が体重を減少させる因子であることを明らかにした。また同様に子宮内で慢性的な低酸素状態を示唆する所見で神経・運動発達のスコアであるMSELスコアは減少を示し、局所的な胎児循環異常を示す、または炎症を示唆する所見でスコアの上昇を認めることが明らかになった。この結果は第30回日本胎盤学会において発表し、今後現在は研究分担者、の指導助言をもとに考察を深め、英文査読付きジャーナルでの掲載を目指して論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
浜松出生コホートの児の身体・神経発達に関する評価と胎盤組織変化の検討を継続する。抗炎症作用/炎症促進作用からω3/ω6の視点、さらに胎盤病理の質量顕微鏡による基礎検討の所見からsphingomyelinと phosphatidylcholineの視点から、臍帯血脂質プロファイルと胎盤病理所見の相関について、単変量、多変量解析を行う。258症例の乳児の4歳までの、体重とPIについて臍帯血脂質プロファイルとの相関を解析し、同様に神経発達についてもMSELを用いた児の評価と臍帯血脂質プロファイルとの相関を解析する。妊娠中の炎症と児への影響を検討するため、妊娠中にウイルス感染症と診断された胎盤及び母児の臨床情報を集積し、炎症による胎盤の組織学的な変化と児の発育に関して検討する予定である。 動物モデルを使った検討では胎生期低栄養マウスを用いて胎仔の血清脂質プロファイルと胎盤組織の変化について、ヒトにおける検討結果の解析モデルとして応用しうるか基礎的な検討を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度は、旅費および研究成果発表に関わる諸費用が予定より少なく、次年度使用額が発生しました。 2023年度は、研究推進のための試薬および物品を購入する予定があり、次年度使用額は2023年度に使用する予定である。
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