2023 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸がんに対する治療標的となりうる新規ゲノムプロファイリングの同定
Project/Area Number |
22K09563
|
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
加藤 友康 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 非常勤医師 (50224522)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 航也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 部門長 (80609719)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 子宮頸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、既報の遺伝子異常が検出されなかった症例を対象に全エクソン・RNAシークエンスを実施することで、新たな治療標的になりうる遺伝子異常や免疫シグネチャーを同定である。昨年度に引き続き申請者らは、子宮頸がん116例に対してRNAシークエンスを実施し、STARを用いてhg38にマッピングを行い、遺伝子発現量の算出はRSEMで、融合遺伝子の同定はSTAR-FUSION/ARIBAを用いて検討を行った。その結果、116例中、ROS1融合遺伝子並びにFGFR3融合遺伝子を計4例に認めた。これらの融合遺伝子に対する複数の候補となる分子標的薬が報告されており、治療標的になりうると考えられた。さらにがん種横断的にFGFR融合遺伝子が検出されるか確認するため、C-CAT (21,789例)並びにcbioportal (32,608例)を用いて検討を行った。その結果、子宮頸がんにおいて最もFGFR3融合遺伝子に検出された(1.5-0.6%)。FGFR融合遺伝子にはFGFR1/2/3があり、遺伝子のタイプによって発生するがん種の頻度が異なることを見出した。またNMFを用いたクラスター解析により、予後不良群を同定し、その不良群の免疫活性が低下していることを見出した(Hiranuma et al., Cancer Med. 2023 Sep;12(17):17835-17848.)。最終年度は、HPV-independentで発症することが知られている胃型子宮頸がんの発症メカニズムを検討するため、公開データベース・トランスクリプトーム・ターゲットシークエンス・メタボロームデータに基づく、オミックス解析を実施し、発がんメカニズムを検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の一つである予後不良群並びに治療標的群の同定を行うことができ、一部の結果がCancer Medicineに採択された。引き続き、HPV陰性子宮頸がんを対象とした研究をさらに進める予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究目的の一つである予後不良群並びに治療標的群の同定を行うことができ、一部の成果がCancer Medicineに採択された。今後は、HPVワクチンの普及によりHPV陰性子宮頸がん症例が増えることが予想されるため、HPV陰性胃型子宮頸がん症例を対象とした研究を最終年度に実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究は順調に推移しており、積極的に研究成果を学会発表等を行うことで、社会への還元を行っている。しかし、昨今の円安に伴う論文投稿費用の高騰により、来年度HPV陰性子宮頸がんに関する論文投稿を行うための投稿費用を確保するため、来年度に繰越を行った。
|