2023 Fiscal Year Research-status Report
胎盤栄養膜細胞における胎児特異的蛋白ミッドカインの役割
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22K09583
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
飯田 哲士 東海大学, 医学部, 客員講師 (90439662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 人士 東海大学, 医学部, 教授 (10212937)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミッドカイン / 栄養膜細胞 / 胎盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト胎盤形成において栄養膜細胞(trophoblast; TB)の分化や浸潤は厳密に制御されているが、この機構は十分解明されていない。本研究では、妊娠初期胎盤に高発現する成長分化因子ミッドカイン(midkine; MK)について、TB における MK の役割を明らかにすることを目的としている。我々のこれまでの予備的検討では MKがMIR1307 の発現増強を介して生物学的作用を及ぼしているのではないかと考えられた。しかし、これまでに細胞性栄養膜細胞(CTB)モデル細胞株(BeWo)の安定的midkine強発現が可能となり、これを用いて網羅的解析を行ったところ、midkineが複数の合胞体化促進因子の発現を制御している可能性が示唆された。さらに解析を進め、BeWo細胞に、MK発現プラスミドor コントロールプラスミドをエレクトロポレーションで導入し、蛍光顕微鏡下、あるいはイメージアナライザーで合胞体化率を評価した。その結果、MK導入株では非導入株に比べ合胞体形成(多核化)が増加し、MKが合胞体形成促進因子である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、Midkine は MIR1307 の発現増強を介して、栄養膜細胞の生存性、遊走・浸潤、合胞体化の制御に関与するとの作業仮説を検証するというもの であったが、昨年度に細胞性栄養膜細胞モデル細胞株の安定的midkine強発現が可能となり、これを用いて網羅的解析を行ったところ、midkineが複数の合胞体化促進因子の発現を制御している可能性が示唆され、これを解明することに研究の方向性を変えた。これに伴い当初の研究計画、実験方法の修正を迫られた。また細胞の合胞体化を客観的に評価するために共同研究施設のイメージアナライザーを用いていたが、損耗更新にて機種変更を余儀なくされ、調整に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が進むべき方向性が、midkineの合胞体化促進への関与の検討に変わったが、今後もこれに注力していきたい。アッセイの中心である細胞の合胞体化の評価法に習熟した研究助手に実験補助をお願いしており、研究の進展が期待される。
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Causes of Carryover |
(理由) 前述の通り、実験の進展に研究計画の修正に伴う若干の遅れが生じたため、基金制度を活かしその分に必要な額を次年度にまわすことになった。 (計画) 合胞体化実験の補助をおこなってもらう要員の雇用を引き続き行い、強化した研究実施体制を維持し、やや遅れていた部分の研究を精力的に進めていきたい。繰越金と次年度分の金額の支出については、これまで通り効率的に実施する予定である。
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