2023 Fiscal Year Research-status Report
哺乳類精子の超活性化を誘導する植物成分の作用機構の解明
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22K09615
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
荒舘 忠 富山大学, 学術研究部教養教育学系, 助教 (30303233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷井 一郎 富山大学, 学術研究部教養教育学系, 教授 (40207171)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精子超活性化 / 体外受精 / 植物成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤマグワ根皮から3種のプレニルフラボノイド化合物、モルシン(MS:化合物1)、クワノン A(KA:化合物2)、クワノンT(KT:化合物3)を分離した。これらの成分で処理した精子による体外受精では、MS(10, 20 micromol/L)およびKA(20 micromol/L)処理した精子による体外受精率が、コントロール(0.25% EtOH)処理と比べて有意な上昇を示した。 上記化合物で処理した精子の運動速度(直線速度、曲線速度)を精子運動解析装置(SMAS)で測定した。また、曲線速度が260 micrometer/secより速い精子を高速運動精子としてその割合を求めた。その結果、MS処理精子では曲線速度と高速運動精子の割合が有意に上昇したので、MS処理精子が最も有効であることが分かった。 MS(20 micromol/L)処理精子による体外受精で得た受精卵が正常に発生するかどうかを調べるために、その体外受精で得た受精卵(2細胞期胚:20個)を偽妊娠マウスの卵管へ移植(胚移植)して正常な仔マウスが誕生するかどうかを調べた。MS処理精子で得た胚から生まれた仔マウスの出生率は、45.0±8.7%(平均9匹)で、コントロール処理の出生率61.7±14.4%(平均12.3匹)と比べて、低下傾向を示したが有意な差はなかった(n=3)。また、同様に調製した受精卵の胚培養において胚盤胞まで育つかどうかを調べたところ、胚盤胞までの生育率は、MS処理群38.7±15.5%、コントロール処理群44.1±16.5%で有意な差はなかった(n=3)。マウス精子のMS処理は、超活性化を誘導し、曲線速度を上昇させることで体外受精率を向上させた。また、そのMS処理は、マウス受精卵の発生に影響を及ぼさないことが示唆された。今後、植物成分によるマウス精子の超活性化誘導に関わる作用メカニズムの解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
植物成分で処理したマウス精子による体外受精で調製した受精卵の初期発生および胚移植に対する評価に遅れが生じたことにより、マウス精子の超活性化誘導に関わる植物成分の作用メカニズムの解析に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
植物成分で処理したマウス精子による体外受精で調製した受精卵の初期発生および胚移植に対する評価を行うことができたので、マウス精子の超活性化誘導に関わる植物成分の作用メカニズムの解析を進める。
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Causes of Carryover |
マウスの飼育に係る経費(令和5年12月~令和6年3月)が新年度の4月に請求されるため、その経費分を次年度使用額とした。また、植物成分の作用メカニズムの解析に使用する。
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