2022 Fiscal Year Research-status Report
早産児の神経学的予後向上に向けた病態解明~腸脳相関に着目して~
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22K09638
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷 友美 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (70359751)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 早産 / ミクログリア / IL-17 / miRNA / 自閉症スペクトラム |
Outline of Annual Research Achievements |
新生仔マウス脳より回収した初代培養ミクログリアにIL-17受容体の発現を確認し、IL-17A添加によるmiRNAの発現変化の解析を行ったところ、複数のmiRNAが発現量の差を認めた。validation解析でひとつの候補にしぼり、ターゲット解析で、ターゲット遺伝子の解析も行っている。このmiRNAと相同であるヒトのmiRNAも同様のターゲット遺伝子を有することも in silico解析で明らかとなり、臨床での知見に橋渡しとなる発見と考えている。これにより、maternal immune activation仮説のトリガーとして知られる母体のIL-17Aが胎仔脳に移行しミクログリアのエピジェネティック変化をもたらす機構の解明に寄与する知見と考え、現在結果を論文にまとめ投稿中である。LPS動物モデルにおけるミクログリアの解析でも、LPS誘導のMIAモデルでのCD11c発現ミクログリアの割合が生後の限定された時期に減少していることが判明した。現在、異常腸内細菌叢モデルとして、抗生剤投与モデルでの早産率が高くなることが判明したが、早産仔の生存率が低いため、異常腸内細菌叢モデルとして既報告のある、高脂肪食モデルを作成中である。母獣の腹腔内脂肪の増加を確認しており、プレコンセプションケアにつながる知見を期待している。高脂肪食モデルでは妊孕性が低下しており、妊娠率向上に向けて条件設定を行っている。さらに、胎内環境による児の神経発達への知見として、大うつ病妊婦から出生した児の臍帯血により胎内環境の影響を示唆する知見を得ており、論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミクログリア細胞実験では、ヒトの知見につながる発見となった。動物モデルに関しては、LPSモデルにおける実験系でミクログリアの単離やその解析による結果が得られた。抗生剤投与モデルでの解析は中断しているが、高脂肪食モデルでの解析を新たに立ちあげ進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
異常腸内細菌叢モデルとして、抗生剤投与モデルから、高脂肪食モデルを作成に切り替えた。妊孕性低下が課題であるため、実験に使用するマウスの数を増加させ、獲得仔数を増加させる計画に切り替えた。高脂肪食への費用増加を抑えるため、既報告をもとに、最短の高脂肪食負荷期間に切り替え、費用の削減、研究時間の短縮を図っている。
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