2023 Fiscal Year Research-status Report
早産児の神経学的予後向上に向けた病態解明~腸脳相関に着目して~
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22K09638
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷 友美 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (70359751)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 早産 / 絨毛膜羊膜炎 / ミクログリア / miRNA / 神経発達症 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生仔マウス脳より回収した初代培養ミクログリアを用いて、IL-17A刺激によるmiRNAの発現変化の網羅的解析から、mmu-miRNA-206-3pの発現増加を明らかにした。mmu-miRNA-206-3pの発現増加により標的遺伝子であるIgf-1, Hdac4の発現低下を確認した。これらの変化は自閉症スペクトラムや胎内で炎症環境に曝露神経に起因する神経発達症モデル(maternal immune activation;MIA)での変化に類似していた。mmu-miRNA-206-3pはhsa-miRNA-206-3pとも相同性があり、共通する標的遺伝子を有しており、今後の臨床応用につながる結果と考えられ、論文発表にいたった。また、MIA仮説についての総説を作成し、国際書籍に掲載予定となっている。リポポリ多糖誘導によるMIA動物モデルにおいてCD11cミクログリア分画の発達期の一過性増加が弱いという結果を得た。発達期に一過性増加を示すことは、in silico解析でマウス、ヒトでも確認できたが、寿命の相違から、時期はヒトのほうが遅くなっていた。また、ASDの剖検脳のin scilico解析では、ASDで少ないことが示された。また前述の論文のように、絨毛膜羊膜炎母体の臍帯血で、コントールと比べ、IL-17Aの増加、IGF-1の低下を示した。髄鞘化所見とCD11cミクログリアとの関連を解析した。現在、異常腸内細菌叢モデルとして、抗生剤投与モデルでの早産率が高くなることが判明したが、早産仔の生存率が低いため、異常腸内細菌叢モデルとして既報告のある、高脂肪食モデルを作成した。仔の行動実験で異常所見を認めており、現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MIAの病態機序のひとつとしてIL-17A/miR-216-3pの可能性を明らかにして論文発表に至った。またMIAの病態機序について総説を作成した。MIA病態機序についてミクログリアの表面マーカーCD11cに着目した研究を論文投稿まですすめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトと動物モデルとのトランスレーションを目指している。高脂肪食負荷期間を短縮して妊娠率向上に努めた。今後は肥満妊婦からの臍帯血などの検討も実施予定である。
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Causes of Carryover |
動物搬入などの時期により次年度使用額が生じた。引き続き妊娠動物を購入し、高脂肪食の負荷を行っている。妊娠動物購入により実験期間の短縮と業務効率化を図っている。
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