2023 Fiscal Year Research-status Report
母体血流によるシェアストレスが絨毛間腔において妊娠初期絨毛に与える影響の解明
Project/Area Number |
22K09640
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千草 義継 京都大学, 医学研究科, 助教 (80779158)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
最上 晴太 京都大学, 医学研究科, 講師 (40378766)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 絨毛細胞 / シェアストレス / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎盤の形成・機能不全は、妊娠高血圧腎症や、胎児発育不全といった重篤な妊娠合併症を引き起こす。良好な母児の妊娠・分娩経過を得るには、妊娠初期に健全な胎盤が形成されることが必須であるが、妊娠初期の胎盤形成に関与する因子、またそれによって生じる変化については、未解明の部分が多い。絨毛間腔では、絨毛細胞にむけて母体血が噴射されるため、絨毛細胞は妊娠初期からシェアストレスに曝されている。本研究では、絨毛間腔の適切なシェアストレスが妊娠初期の健常な絨毛細胞の発育にどのような影響を与えているのかを検討した。実験には、我々が最近樹立に成功した、iPS細胞由来ヒト絨毛幹細胞(nCT)と、任意のシェアストレスを負荷できる潅流培養装置とを用いて、シェアストレス負荷が絨毛細胞に及ぼす変化と影響とを解析した。2022年までに、我々はシェアストレス負荷によってcCTが融合し、hCG発現を増加させることを明らかにした。次に我々はシェアストレスを負荷したnCTにおける、シンチチウム化マーカー(GCM1、ERVW-1、CGB3、PlGFなど)のmRNA発現をqPCRで検討したところ、シェアストレス(10dyn/cm2)の負荷48時間、および72時間で、これらのマーカーは有意に発現が上昇した。さらに、シェアストレス負荷後のnCTを電子顕微鏡で観察すると、表面の微絨毛が増加していた。これらの所見は、シェアストレスが絨毛細胞のシンチチウム化(分化)を促進することを示唆している。2024年はそのメカニズムの解明およびシェアストレスによる遺伝子変化を網羅的に解析を予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シェアストレスが絨毛の分化(シンチチウム化)を促進し、電子顕微鏡的にもそのエビデンスが得られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
シェアストレスが絨毛の分化(シンチチウム化)を促進しているメカニズムを解明(細胞内のcAMP増加の有無などを確認)し、また網羅的遺伝子解析によってシェアストレスが絨毛の分化および遺伝子発現に与える影響を検討していく。
|
Causes of Carryover |
本実験に使用する予定の消耗品購入に充てるため。
|