2022 Fiscal Year Research-status Report
エストロゲン受容体α(ERα)によるがん幹細胞サイズを制御する分子機序の解明
Project/Area Number |
22K09650
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
李 忠連 東京医科大学, 医学部, 准教授 (80319532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正裕 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (00232471)
矢倉 富子 東京医科大学, 医学部, 講師 (20722581)
表原 拓也 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (40800545) [Withdrawn]
夏山 裕太郎 東京医科大学, 医学部, 助教 (60976926)
永堀 健太 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (50759561) [Withdrawn]
河田 晋一 東京医科大学, 医学部, 助教 (00527955)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Estrogen receptor alpha / Subcellular localization / Cancer stem cell / Cell-size / Mitochondria / Endometrium / Metastasis / Proliferation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は子宮内膜癌細胞において、局在の異なるエストロゲン受容体α(estrogen receptor α, ERα)ががん幹細胞サイズを制御する分子機序の解析を目的としている。 研究代表者は、ERαを発現していない子宮内膜癌細胞株(Ishikawa株)にERα強制発現ベクターを恒久的に導入することによって、①細胞膜(細胞膜型ERα)、②細胞質と細胞核(細胞質核型ERα)、③細胞核(細胞核型ERα)、④EREに結合しない細胞膜・質・核(近野生型ERα)、およびEREに結合する細胞膜・質・核(野生型ERα)に、それぞれERαを発現する細胞株を作成した。 当該年度は、細胞質核型ERαを持つ細胞株における、エストロゲン(E2)および、選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるタモキシフェン(Tam)、フルベストラント(Fulvestrant or ICI)、あるいはバゼドキシフェン(BDF)を添加し、細胞の増殖能、遊走能ならびに各種シグナルパスウェイ上のタンパク質の発現量およびリン酸化レベルについて解析を行った。 細胞質核型ERα細胞では、E2添加により細胞の増殖能と遊走能は亢進し、逆にTamならびにBDF添加により細胞の増殖能が抑制されることが確認された。しかし、ICI添加によるこれらの変化は認められなかった。一方、ERα-細胞において、E2やICIまたBDF添加によるこれらの変化は認められなかった。さらに、増殖能および遊走能に関わるシグナルパスウェイ上のタンパク質の発現量およびリン酸化レベルをウエスタンブロット法によって解析した。細胞質核型ERα細胞とERα-細胞において、非リン酸化mTORの発現量に変化は見られなかった。しかし、細胞質核型ERα細胞においてE2添加により、リン酸化mTOR(Ser2448)の発現量の増加や、リン酸化FAK(Try297)の発現量の低下が認められた。 以上の結果より、細胞質と核内に局在するERαを介したリン酸化mTORの発現量の増加が、細胞の増殖と遊走の亢進に関与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、上記①~④の細胞株を用いて、研究を遂行している。上述のように、現在までの研究は、概ね予定通り進行している状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
エストロゲン(E2)は、その受容体と結合することによりがん幹細胞サイズの変動に関わることが明らかになっている。 まず各細胞株について、エストロゲン(E2)とその阻害剤の添加を行う。これによって、がん幹細胞サイズの亢進を生じるエストロゲン(E2)の添加条件を決定する。決定されたエストロゲン(E2)添加条件において、各細胞株間における「がん幹細胞サイズの変動」と「ERαの細胞内局在」の関係を評価する。解析において、まず細胞内タンパク質合成とミトコンドリアの活性に関わる遺伝子を同定する。次に、変化の認められた遺伝子群に対するshRNA(small hairpin RNA)ベクターを作成する。細胞への導入を行うことで、RNA干渉によって標的遺伝子をサイレンシングする。さらに、がん幹細胞サイズを中心に、ミトコンドリア膜電位、ミトコンドリア融合/分裂率、細胞内ATP量、新生タンパク質の発現量を測定する。これによって、ERαを通じたミトコンドリアの活性変動、およびがん幹細胞サイズの変動に必要な遺伝子群を同定する。
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Causes of Carryover |
調達の方法の工夫などにより、当初計画より経費の使用が節約できたことは,次年度使用額が生じた理由である。 当該年度は、細胞質核型ERαを持つ細胞株における、エストロゲン(E2)および、選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるタモキシフェン(Tam)、フルベストラント(Fulvestrant or ICI)、あるいはバゼドキシフェン(BDF)を添加し、細胞の増殖能、遊走能ならびに各種シグナルパスウェイ上のタンパク質の発現量およびリン酸化レベルについて解析を行った。細胞質核型ERα細胞では、E2添加により細胞の増殖能と遊走能は亢進し、逆にTamならびにBDF添加により細胞の増殖能が抑制されることが確認された。しかし、ICI添加によるこれらの変化は認められなかった。これについて調べるために細胞質核型ERαとE2との結合能を測る必要があると判断した。次年度使用額はこの実験のために使用し、年度内に完了すると使用計画を策定した。 本実験のために必要な消耗品費は下記の通り:ERαとE2との結合能を調べるために必要なHuman Estrogen Receptor alpha ELISA Kit (ab277408)の購入費として110,000円;細胞培養試薬費として80,000円;細胞培養器具費として30,000円;分子生物学実験試薬として30,000円;分子生物学実験器具費として30,000円。
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Research Products
(12 results)