2022 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナル伝達機構を軸とした後天性中耳真珠腫の病態生理の解明
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22K09658
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福田 篤 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (70609742)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 耳鼻咽喉科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
後天性中耳真珠腫は、角化扁平上皮の異常増殖により側頭骨中耳に生じる境界明瞭な非腫瘍性病変である。局所浸潤性があり、頭蓋内に進展した場合は合併症により死亡する可能性がある。発症原因は未だ明確にされておらず、依然として根本的治療は外科的治療のみである。申請者はこれまでの研究で後天性中耳真珠腫の病態生理にNotchシグナル伝達経路が関与している可能性を世界で初めて明らかにした。本研究ではこれまでの研究を発展的に飛躍させ、真珠腫における増殖・骨溶解シグナル伝達機構についてゲノム・プロテオーム解析を軸にして、Notchシグナル伝達経路を中心に網羅的に解析し、増殖・骨溶解シグナル伝達およびそのシグナル伝達系相互のクロストークに関連した分子群を同定する。真珠腫発症・増殖・骨溶解メカニズムを分子生物学的側面から解明し、分子標的治療法開発の基盤を確立する。本研究で、真珠腫の病態生理に関わる新たな標的分子、シグナル伝達機構を解明することができれば、今後の真珠腫治療におけるbreak throughとなり、真珠腫の非外科的治療法開発へ大きな一歩となることが期待される。また、臨床的側面との関連性も検討することで、組織破壊性との関連や、外科的治療後の再発リスク因子の同定も可能となる。
本年度は、手術検体から得られた多数の後天性真珠腫検体を用いて、免疫染色による様々なタンパク発現解析を開始した。染色状態の確認、それぞれのタンパクの発現率、相関などに関して分析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病変のタンパク発現解析において、免疫染色を用いた検体処理は終了しているが、解析に予定より時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
後天性真珠腫に対するコントロールに対しても免疫染色を行い、解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
今年度に実験で使用した試薬等については、すでに当研究室で保管してあった試薬等を使用することができ、新たに試薬等を購入する必要がなかったことから物品費が予定よりも安くなったこと、新型コロナ感染症により学会への現地参加等が制限されていたことから旅費が予定よりも安くなったため、次年度使用額が生じた。次年度は研究計画に沿って試薬購入や旅費として使用する予定である。
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