2022 Fiscal Year Research-status Report
Stratification and elucidation of therapeutic targets based on transcriptional regulation abnormalities in HPV-related oropharyngeal cancer
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22K09664
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
新村 大地 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (30876660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 篤志 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30794309)
望月 大極 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40467246)
美馬 勝人 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (40866109)
三澤 清 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90334979)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HPV関連中咽頭癌 / HPVゲノムの組込み / クロマチン変化 / 個別化治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の研究からHPV関連中咽頭癌は分子サブタイプで層別化されることが示されているが発癌メカニズムは不祥な点が多い。そこで本研究ではHPVゲノムの組込みによるクロマチン変化、特に転写制御異常に着目した発癌分子機構の解明と層別化、サブクラス毎の治療標的を解明することを主題とする。既に収集済みである約50症例のHPV関連中咽頭癌検体を用いた網羅的な遺伝子発現解析、エピゲノム解析を行い層別化に取り組む。検体を順次追加していき層別化の妥当性を上げていくと共に、治療標的候補について細胞株を用いた機能解析を行う。公共データでの検証を経て、個別化治療構築へ向けた分子サブタイプに対する治療標的の解明を目指す。上記の学術的「問い」を踏まえ申請者はHPV感染が引き起こす転写制御異常に基づく発癌機構の解明と新たな治療標的の提唱を目的として、HPVゲノムに近接する領域の機能解析および治療標的としての妥当性を検討していく。転写制御の解析において、ヒストンのアセチル化(H3K27ac)はユークロマチン構造と遺伝子発現の活性化状態に関連している。そこで、臨床検体を用いたChIP-seq ではH3K27acのヒストン修飾状態に着目する。本研究では、細胞株で明らかとなったintegrated HPV周囲の特徴について臨床検体を用いて検証する。100症例のHPV関連中咽頭癌の臨床検体を用いた転写制御異常の網羅的解析は渉猟しうる限り報告は認めず独自性は高い。HPV関連中咽頭癌を発癌分子メカニズムで層別化することは新たな治療標的の解明に繋がる創造性の高い研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在の進行状況は、臨床検体については浜松医科大学附属病院に加えて、関連病院の中で頭頸部癌手術件数が最多となる聖隷浜松病院からHPV関連中咽頭癌を収集している。現時点でHPV陽性中咽頭癌50症例を保存しており、随時利用できるよう整理している。これまでの2施設の年間症例数を考慮すると十分な症例数の検体収集が可能である。しかしコロナ禍の現在、静岡県内でも手術件数を抑制せざるを得ない状態であり目標としている症例数が若干不減少している状況である。研究環境として、NextSeqは浜松医科大学先進機器共用推進部の協力のもと本大学共有施設として常時利用可能な状態にあり、解析用サーバーも使用可能な環境が構築されている。RNA-seq法による網羅的発現解析やChIP-seqによる網羅的ヒストン修飾解析は申請者を含めて本研究グループで通常行われている解析手法であり、技術的支障はない。また、先進機器共用推進部には専門知識と技術を持った職員が常駐しており次世代シーケンサーから生成されるビッグデータ解析の環境に不足はない。また、腫瘍切片の確認を行うナノスーツ開発研究部の河崎准教授とは月2回以上の頻度で綿密に連携をとっており、研究をすすめていく。
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Strategy for Future Research Activity |
(A) 臨床検体採取・臨床情報取得:浜松医科大学附属病院を受診し、研究に同意した患者から生検または外科的切除後の組織のうち病理診断によりHPV陽性と診断された検体を収集する。癌部ならびに非癌部を収集し比較対象群として使用を予定している。現在50症例を収集済みである。最終的に100症例のHPV陽性中咽頭癌を解析対象にできることを目標とする。また、採取された検体について病期、治療情報、化学放射線療法を行った場合はその反応性(CR/non-CR)、予後情報などの臨床情報を収集し(C)の解析に用いる。 (B) 網羅的解析・量的解析:(A)にて得られた凍結検体を薄切し、腫瘍病理学講座に所属する病理医により腫瘍含有率を確認後、適切な検体を使用する。当該検体からDNA、RNAを抽出し次世代シーケンサーによる網羅的HPV integration siteの検出、RNA-seqで網羅的遺伝子発現解析をそれぞれ行う。凍結検体を用いたChIPではH3K27ac抗体を使用して活性化ヒストン修飾の網羅的解析を行う。治療標的としての妥当性については細胞株を用いた機能解析を予定している。 (C) 情報解析:(B)にて得られたHPV integration site、遺伝子発現情報、活性化ヒストン修飾情報を統合しintegrated HPVにより発現変化を来す遺伝子群を抽出してin silico解析を行い発癌に寄与するパスウェイ解析を実行し層別化を行う。(A)で収集した臨床情報と紐付けし予後との関連を調査する。自験例での層別化を行った後に、TCGAなどの公共データベースを使用した検証を行う。 (D) 病理組織学的解析:(A)で収集済みの病理組織標本に対して、(B)(C)の解析によって同定された標的遺伝子のコードする蛋白の免疫染色を行う。層別化した集団間での形態学的所見と比較検討する。
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Causes of Carryover |
2022年度、中咽頭癌症例の収集を中心実験を行った。2023年度は、ChIP-seqを開始する。100症例のHPV関連中咽頭癌症例の解析を行う予定で予算使用額が増加すると予想される。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Novel prognostic value and potential utility of opioid receptor gene methylation in liquid biopsy for oral cavity cancer2022
Author(s)
Ishikawa R, Imai A, Mima M, Yamada S, Takeuchi K, Mochizuki D, Shinmura D, Kita J, Nakagawa T, Kurokawa T, Misawa Y Nakanishi H, Takizawa Y and Misawa K
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Journal Title
Current Problems in Cancer
Volume: 46(2)
Pages: 100834
DOI
Peer Reviewed
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