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2022 Fiscal Year Research-status Report

新規RASシグナル阻害剤の頭頸部癌治療応答基盤解明

Research Project

Project/Area Number 22K09680
Research InstitutionTokyo Medical and Dental University

Principal Investigator

加納 嘉人  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (10633125)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 原田 浩之  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40343149)
朝蔭 孝宏  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50361481)
岡本 隆一  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50451935)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords頭頸部癌 / 薬物治療 / RAS標的治療 / 免疫チェックポイント阻害剤 / オルガノイド / がんゲノム医療
Outline of Annual Research Achievements

現在がんゲノム医療が実装化される一方で、その有用性を検討するためにはさらなるゲノムデータや標的治療のエビデンスの蓄積が求められている。RAS-MAPK経路はヒトがんの中で最も高頻度に変異しており難治癌にその変異が多くみられる。RASは長らく治療標的とするのが困難で「undruggable」とみなされてきたが、近年KRASG12Cといった特定の変異型に対しては阻害剤の開発が進み肺癌などでは効果を示している。しかしながらG12C変異は肺癌以外ではその変異頻度は低く、一般的な治療法とはなり得ていない。さらに他の変異型に関しては立体構造等からRAS自体を治療標的とすることはいまだに非常に困難であり、多角的なアプローチが必要である。近年申請者はRAS変異がんに対しホスファターゼであるSHP2の阻害が著明な抗腫瘍効果を示すことを報告し臨床への応用が期待されている。一方で扁平上皮癌を始めとした頭頸部癌ではRASの変異、増幅が報告されているもののその治療的意義は明らかでない。そのため本研究では難治性頭頸部癌に焦点を当て、ゲノムシークエンス解析を実施し網羅的な遺伝子プロファイリングデータを解析している。これまでに当院でゲノム解析を施行した50例以上の頭頸部癌に対する詳細な解析を行うと同時に、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)に登録されている1000例以上の頭頸部癌症例の解析をおこない、扁平上皮癌と非扁平上皮癌では治療標的となる遺伝子や治療到達率が異なることを明らかとし論文報告している。
さらには頭頸部癌におけるRAS-MAPK経路が寄与する意義を明らかとし、抗EGFR抗体薬(セツキシマブ)などとの治療相関や、初代培養腫瘍オルガノイドを用いた基盤研究を行うことで、標的治療開発や予後予測を可能にするエビデンス獲得を目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度の目標は頭頸部癌における網羅的な遺伝子プロファイリング解析を行い、ゲノムシークエンスデータを蓄積することにあった。当院における頭頸部癌54症例(扁平上皮癌34例、非扁平上皮癌20例)の解析を進め、治療標的となりうる分子の候補を検討した。興味深いことに、扁平上皮癌と非扁平上皮癌では遺伝子プロファイリングが異なることが示され、扁平上皮癌ではTumor Mutational Burden(TMB)高値に対する免疫チェックポイント阻害剤が効果が高いことが明らかとなった。一方で非扁平上皮癌ではERBB2やNTRK変異などの遺伝子変化を認めそれぞれ標的治療が施行された。さらに我々はC-CATデータを用いて1000例を越える症例において同様な解析を行い日本人特有のデータを示したと同時に、扁平上皮癌のTMB値、非扁平上皮癌でのERBB2やNTRK変異などは当院でのデータを裏付けするものであった(Noji R, Kano Y et al. Cancers 2022)。
さらにはリキッドバイオプシーを用いて、治療前後に網羅的遺伝子解析を行うことで抗EGFR抗体や免疫チェックポイント阻害剤施行例において治療抵抗性あるいは感受性に関係する遺伝子の同定、特にMAPKに関連する遺伝子群の変化があるかを検討している。パイロットとして10症例を目標としているが、2022年度までは8症例のエントリーとなっており、さらに2症例の追加エントリーとシークエンシャル解析を追加していく。
また一方で腫瘍オルガノイドライブラリーの作成の準備も進めており、まずは大腸癌ヒト検体を用いてオルガノイド樹立の手技確立を行なっている。ヒト正常上皮からの樹立はすでに確立しており(Kobayashi S, Kano Y et al. Inflamm Regen 2022)、今後大腸癌ひいては頭頸部癌に応用する予定である。

Strategy for Future Research Activity

リキッドバイオプシーの症例数を増やしICIの反応性と遺伝子変異のシークエンシャルな変化のさらなる詳細な解析を行う。またリキッドバイオプシーと組織ベースのゲノムシークエンスとの比較は現在議論がされており、本研究においても同一症例でのシークエンス結果について比較解析を行う。今後今回得られた知見を元に、頭頸部癌に限らずICI治療例において耐性あるいは感受性のバイオマーカー候補となる遺伝子変異を当院のデータベースによる検討解析を行う。当院でのデータベースにて目標のサンプルサイズに到達しないことが危惧されるが、C-CATのデータベースにて公開されているサンプルサイズ非常に大きく現時点で頭頸部癌症例のゲノムデータが1000例以上蓄積されている。C-CATには適切な申請を行い我々のグループにて研究目的に使用可能である。リキッドバイオプシー研究はパイロット研究として10症例が目標であったが、これまで8症例がエントリーされており、リクルートが完了しなかった点が課題である。1年以内にもう2例のエントリーとデータ解析を行う予定であり、論文投稿を目指す。
また頭頸部癌ではRAS変異率が高くないことも明らかとなった。そこで抗EGFR抗体薬とRAS変異との相関を探るには多くの症例を必要となる。一つの解決策としてはC-CATデータを利用することであり解析を進めていく。ただしC-CATでは治療効果などの項目が全て揃っていない場合が多く、遺伝子解析データと治療効果との相関が追えない可能性もある。そこで第二の解決策として本学バイオリソースセンターに蓄積されている検体から得られたゲノム情報を治療効果の観点から解析する。約200例近くのシークエンスデータが得られており、今後解析を行う予定である。またSHP2をコードするPTPN11遺伝子の変異に関しても順次解析を進めていく。

Causes of Carryover

・次年度使用額が生じた理由:シークエンス解析が計画当初より廉価で施行可能であった為。
・使用計画:検討する症例数を拡大して解析を行う為、シークエンス回数を増加する予定である。

  • Research Products

    (12 results)

All 2023 2022

All Journal Article (7 results) (of which Peer Reviewed: 5 results,  Open Access: 5 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Invited: 2 results)

  • [Journal Article] Clinical Utility of Comprehensive Genomic Profiling in Patients with Unresectable Hepatocellular Carcinoma2023

    • Author(s)
      Ishido Shun, Tsuchiya Kaoru, Kano Yoshihito, et. al.
    • Journal Title

      Cancers

      Volume: 15 Pages: 719~719

    • DOI

      10.3390/cancers15030719

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Factors associated with liver injury and prognosis in advanced cancer patients treated with immune checkpoint inhibitors2023

    • Author(s)
      Kaneko Shun、Asahina Yasuhiro、Nakagawa Mina、Murakawa Miyako、Miyazaki Yasunari、Asakage Takahiro、Fukuda Shohei、Namiki Takeshi、Kano Yoshihito、Nagata Masashi、Tsuchiya Jun、Miyoshi Masato、Kitahata‐Kawai Fukiko、Nitta Sayuri、Itsui Yasuhiro、Kakinuma Sei、Okamoto Ryuichi
    • Journal Title

      Hepatology Research

      Volume: 53 Pages: 450~459

    • DOI

      10.1111/hepr.13878

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Collagen type I-mediated mechanotransduction controls epithelial cell fate conversion during intestinal inflammation2022

    • Author(s)
      Kobayashi Sakurako, et. al.
    • Journal Title

      Inflammation and Regeneration

      Volume: 42 Pages: 49

    • DOI

      10.1186/s41232-022-00237-3

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Comprehensive Genomic Profiling Reveals Clinical Associations in Response to Immune Therapy in Head and Neck Cancer2022

    • Author(s)
      Noji Rika, Kano Yoshihito, et. al.
    • Journal Title

      Cancers

      Volume: 14 Pages: 3476~3476

    • DOI

      10.3390/cancers14143476

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Clinical utility of comprehensive genomic profiling in Japan: Result of PROFILE-F study2022

    • Author(s)
      Aoyagi Yasuko, Kano Yoshihito, et. al.
    • Journal Title

      PLOS ONE

      Volume: 17 Pages: 0266112~0266112

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0266112

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 遺伝子検査の基礎知識 ゲノム検査はどんな場合に行うか?臨床医として知っておくべきこと2022

    • Author(s)
      加納嘉人
    • Journal Title

      肝臓クリニカルアップデート

      Volume: 8 Pages: 102-106

  • [Journal Article] リキッドバイオプシーがもたらすがん診療の変革2022

    • Author(s)
      加納嘉人
    • Journal Title

      消化器・肝臓内科

      Volume: 11 Pages: 479-482

  • [Presentation] Monitoring for Immunotherapy in Head and Neck Cancer by Liquid Biopsy2022

    • Author(s)
      Rika Noji, Yoshihito Kano
    • Organizer
      第20回日本臨床腫瘍学会
  • [Presentation] Clinical Utility of Comprehensive Genomic Profiling in Advanced Liver Cancers2022

    • Author(s)
      Yoshihito Kano
    • Organizer
      APASL Oncology
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] がんゲノムビッグデータと頭頸部癌最新薬物治療2022

    • Author(s)
      加納嘉人
    • Organizer
      第198回御茶ノ水耳鼻咽喉・頭頸科治療研究会
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] 頭頸部癌免疫療法におけるリキッドバイオプシーモニタリングの有用性の検討2022

    • Author(s)
      野地理夏,加納嘉人
    • Organizer
      第46回日本頭頸部癌学会
  • [Presentation] 進行肝癌に対するがんゲノム診療における臨床的問題点とリアルワールドデータ解析2022

    • Author(s)
      加納嘉人
    • Organizer
      第108回 日本消化器病学会総会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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