2022 Fiscal Year Research-status Report
前庭機能と認知障害:前庭リハビリテーションによる加齢性認知障害の予防
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22K09681
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
森田 由香 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60547602)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 前庭機能 / 認知機能 / 加齢 / 空間認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴う認知機能低下には、外部入力を受容する感覚器の機能低下の関与が大きいとされ、我々も疫学調査から難聴の程度と認知機能が相関することを報告した。前庭機能については、両側前庭破壊動物で空間記憶障害が生じること、両側高度前庭機能低下患者では海馬が委縮し空間認知機能が低下することが報告されている。このことから聴覚同様、加齢による前庭機能低下も空間認知を中心とした認知機能低下を引き起こす可能性が考えられるが、ヒトでの報告は少ない。一方、慢性めまいに対して前庭リハビリテーションを行うと、めまい症状だけでなく認知機能も改善するとの報告があり、加齢による平衡障害に対する介入が体平衡を改善し日常活動量を増加させることで、認知機能を維持あるいは改善できる可能性が考えられる。 本研究では、①耳鼻咽喉科を受診する一般患者の前庭機能、認知機能を年齢別に評価し、加齢が前庭機能および認知機能に与える影響について明らかにするとともに、②めまい患者において前庭機能と認知機能が相関するかどうか検討し、③加齢性前庭障害と診断された患者に前庭リハビリテーションを行い、めまい症状および認知機能が改善するかどうか前向き研究を実施し、超高齢社会における健康寿命延伸を目的とした、前庭リハビリテーションによる認知症予防策を確立することを目的とした。 令和4年度は、めまい疾患で受診した患者さんの中から②について研究参加を依頼し、同意を得られた14名に対し、通常の平衡機能検査(半規管系指標であるカロリックテスト(CP%), vHIT、耳石系指標としてVEMP、重心動揺検査)の他、空間認知機能検査として仮想水迷路試験を、一般認知機能検査としてmini-mental state examination(MMSE)および注意障害・処理速度障害の評価としてTrail Making Test(TMT)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、①加齢が前庭機能および認知機能に与える影響とともに、②めまい患者において前庭機能と認知機能が相関するかどうか検討し、③加齢性前庭障害と診断された患者に前庭リハビリテーションを行い、めまい症状および認知機能が改善するかどうか前向き研究を実施するが、加齢性前庭機能障害と診断される症例がいないため、③の登録症例がいない。また、めまい症状のないボランティアのリクルートがすすんでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
ボランティアの募集方法を考える。具体的には、耳鼻咽喉科外来にボランティア募集のポスター掲示をして、より多くの方からの応募を募る。
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Causes of Carryover |
めまい症状のないボランティアのリクルートがすすまなかったため、人件費の出費がなかった。次年度はボランティアの謝金に充てる予定である。
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