2023 Fiscal Year Research-status Report
超高齢社会における嚥下障害に対する知覚機能改善を目指した新規治療法の開発
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22K09697
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
宇野 光祐 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科, 講師 (20464828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 幸仁 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 教授 (70317220)
塩谷 彰浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 教授 (80215946)
谷合 信一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 助教 (80433598)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 嚥下障害 / 咽頭喉頭粘膜 / 知覚低下 / 遺伝子治療 / ウイルスベクター / 経口噴霧 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に上喉頭神経切断により喉頭知覚を低下させた嚥下障害ラットモデルを確立した。当モデルの術後体重における近似直線の傾きは両側切断<一側切断<偽手術の順であった。術後摂食時行動では、術前=偽手術<一側切断<両側切断の順で嚥下時間が延長しており、神経切断群ではいずれも嚥下時に咳嗽を伴っていた。術後28日目の犠牲死前に造影剤を飲用させ頸胸部CTを撮像したが、造影剤の誤嚥は確認できなかった。 組織学的に喉頭知覚入力の低下を評価するため、咽頭喉頭粘膜の自由神経終末に発現する感覚受容器であるTRPV1受容体、TRPA1受容体を標的とした。また、嚥下障害において気道防御に重要な咳嗽にも着目し、上喉頭神経上に発現するP2X3受容体も標的とした。ラットを両側上喉頭神経切断後2,7,28日目に犠牲死させ喉頭を摘出し、凍結切片作成後にTRPV1抗体、TRPA1抗体、P2X3抗体による免疫組織化学染色を行った。上喉頭神経知覚枝の単独支配領域である喉頭蓋、披裂部における各受容体の局在、経時的変化を評価した。いずれの部位、受容体においても対照群(手術なし)で認める粘膜下の蛍光箇所が神経切断後早期に消失し、時間経過とともに回復する傾向にあった。これは先述の体重変化と相関する傾向であった。 遺伝子治療では末梢感覚神経上の受容体を治療の標的とするため、ウイルスベクターは末梢神経に選択的組織指向性を示すアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-PHP.S)を用いた。文献上は概ね静脈注射であったが、本研究ではより簡便かつ低侵襲な経口噴霧を選択した。ラットを喉頭展開したのちAAV-PHP.S-EGFP(1.0×10^12 GC/mL) 30uLを咽頭喉頭粘膜へ経口噴霧し、21日後に犠牲死させて喉頭を摘出した。組織学的には噴霧部位の粘膜下深層の神経線維までEGFP発現が認められ、局所限局的な遺伝子導入手技を確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
喉頭粘膜知覚低下による嚥下障害ラットモデルの確立、組織学的評価による標的受容体の探索、ウイルスベクターの選定および遺伝子導入効率向上まで実施できており、総合的な進捗状況は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した嚥下障害ラットモデルに対し、標的受容体の作動薬あるいは治療因子を搭載したウイルスベクターを投与し、嚥下機能の改善効果を評価する。また、咳嗽と嚥下障害の関連性を明らかにし、体重変化以外の嚥下機能の評価系を確立して治療効果を確認する。
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Causes of Carryover |
組織学的評価による標的受容体探索、コントロールベクターによるレポーターアッセイを主として行い、高額な治療因子搭載ウイルスベクターは次年度購入する予定となったため、当初予定していたよりも物品費が安価となった。
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