2022 Fiscal Year Research-status Report
難聴脳データベースを利用した音楽知覚能および語音聴取能を高めるリハビリ手法の開発
Project/Area Number |
22K09698
|
Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
南 修司郎 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 医長 (00399544)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 難聴脳データベース / オンライン聴覚検査 / 人工内耳 / 補聴器 |
Outline of Annual Research Achievements |
【はじめに】脳のSurface-based Morphometry(SBM)は加齢に伴い変化するため、各年代の難聴脳データベース作製を目指している。本研究では、両側高度重度難聴患者の難聴脳と健聴脳のSBMを比較検討した。 【方法】東北メディカルメガバンク(ToMMo)の健聴コントロール群1918人と両側70dB以上の高度重度難聴患者群150人の全脳3DT1強調MRIからのSBMデータを用いて、年齢を共変量、各領域の皮質厚を従属変数値として共分散分析を行なった。P<0.01を有意とした。 【結果】年齢中央値が55歳(20~85歳)、男性が27.6%を占める1918人、NHO高度~重度難聴群:年齢中央値が62歳(8~95歳)、男性が37.8%を占める150人である。皮質の厚さは、左半球で19領域(56%)、右半球で20領域(59%)が、グループ間で有意差を示した。高度重度難聴患者の帯状回、中側頭回、上前頭回、上側頭回、前頭極、側頭極、島皮質では、健常者対照に比べて有意に薄く、両半球で0.1mm以上の平均差があった。 【考察】重度~高度難聴患者では、聴覚関連領域だけでなく、その他の感覚関連領域においても、健聴者と比較して皮質の厚さが有意に異なることが示された。しかし、一次聴覚野である横側頭回における皮質厚は、両群間で有意差を認めなかったのは興味深い。重症~難聴の患者さんは、難聴の期間、先天性か後天性か、補聴器の有無、難聴の原因など、多くの点で非常に異質であった。そこで、この異質性についてさらに調査を行っていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高度重度難聴者150人を難聴脳データベース登録した。オンライン聴覚検査について、倫理審査承認を得て、音感と語音を調べるオンライン聴覚検査サイトを構築した。
|
Strategy for Future Research Activity |
難聴脳データベースに登録した難聴者に、補聴器または人工内耳を装用して、音感と語音を調べるオンライン聴覚検査を受けていただく。語音明瞭度の評価は、日本聴覚医学会により基準化された語音聴力検査法に則る。日本聴覚医学会から提供されている67-S検査用語表を用いて、聞き取れた単音節を記入し、その正答率(%)を記録する。十分に聞こえる呈示音圧レベルで測定する。オンライン聴覚検査は、なるべく静かな環境で実施する。補聴器または人工内耳装用者は、音源がダイレクト入力となる設定で実施する。補聴器や人工内耳非装用者は、イヤホンまたはヘッドホンを装着し、自身にとって最適な音量となるように調整する。病院での語音明瞭度検査結果とオンラインでの語音明瞭度検査結果を比較検討する。音楽知覚能は、Peretzらが開発したMontreal Battery for the Evaluation of Amusia (MBEA)をオンライン音感チェックとして使用する。MBEAの音源の使用許可を得ている。Peretzらが、175人を対象にMBEAを行い、正規性が確認されている。オンライン音感チェックでは、比較する必要のある2つの連続したメロディーを流し、これらの2つのメロディーが同一であると思われる場合は、オーディオサンプルの下の回答の「同じ」の横にあるバブルにマークを付ける。それらが異なると判断した場合は、「異なる」の横にあるバブルにマークを付ける。その正解率(%)を記録する。
|
Causes of Carryover |
オンライン聴覚検査サイト構築に時間がかかり、次年度使用額が生じた。オンライン聴覚検査サイトのメンテナンス費用も含め、次年度で使用する。
|
Research Products
(10 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Weekly Cisplatin Plus Radiation for Postoperative Head and Neck Cancer (JCOG1008): A Multicenter, Noninferiority, Phase II/III Randomized Controlled Trial2022
Author(s)
Kiyota N, Tahara M, Mizusawa J, Kodaira T, Fujii H, Yamazaki T, Mitani H, Iwae S, Fujimoto Y, Onozawa Y, Hanai N, Ogawa T, Hara H, Monden N, Shimura E, Minami S, Fujii T, Tanaka K, Homma A, Yoshimoto S, Oridate N, Omori K, Ueda T, Okami K, Ota I, Shiga K, Sugasawa M, Asakage T, Saito Y
-
Journal Title
J Clin Oncol.
Volume: 40
Pages: 1980-1990
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Presentation] Differences in cortical thickness between individuals with severe-to-profound hearing loss and normal hearing: a surface-based morphometry study2023
Author(s)
Shujiro Minami, Kanako Imamura, Masahiro Takahashi, Naoki Oishi, Takanori Nishiyama, Makoto Hosoya, Akinori Kashio, Kyoko Shirai, Haruo Yoshida, Sawako Masuda, Ken Kato, Masaru Tateda, Tomoko Yamaguchi, Akiko Shigehara, Yusuke Akagi, Hiroshi Nishimura, Takashi Kojima, Hiroyuki Yamada, Masafumi Ueno
Organizer
IFOS DUBAI ENT WORLD CONGRESS
Int'l Joint Research
-
-
-
-