2022 Fiscal Year Research-status Report
内耳血液迷路関門の透過性制御に基づく薬剤性難聴の予防手段の樹立
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22K09702
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西尾 綾子 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (00611576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 慶之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (10376759)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 薬剤性難聴 / 血液迷路関門 / 内耳 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス血液迷路関門(BLB)の成立時期の確認から開始した。日齢6(P6)からP21までのC57BL/6J野生型マウスにPBSまたはFM 1-43 dyeを皮下注射し、24時間後に安楽死させた。内耳を取り出し固定したのち、蝸牛感覚上皮を取り出して、有毛細胞を抗Myosin VI抗体と蛍光標識二次抗体で標識した。FM dyeの有毛細胞への取込は、P11からP14の間で急激に減少したことから、この期間にBLBが成立するものと考えられた。Texas Redで標識したゲンタマイシン(GTTR)でも、同様の実験を行い、全身投与したGTTRの有毛細胞への移行量は、上記のBLB成立以降に急激に減少することを確認した。次に、BLB成立後のマウスにおいて、lipopolysaccharide(LPS)誘発性炎症によるBLB透過性の変化を調べた。4-8週齢のC57BL/6J野生型マウスにPBSまたはLPSを静注し、24時間後にPBSまたはGTTRを皮下注射して、さらに24時間経過した時点で安楽死させ、内耳を取り出し固定したのち、蝸牛感覚上皮を取り出して、有毛細胞を抗Myosin VI抗体と蛍光標識二次抗体で標識した。LPS投与によりGTTRの有毛細胞への移行量が増加することが確認された。この結果より、LPS投与によりBLBの透過性が亢進したものと推測された。続いて、アミノグリコシドであるカナマイシンの全身投与により出現する難聴が、LPS投与により増悪するか確認する実験を開始した。現在、カナマイシンおよびLPSの適当な投与量および投与期間について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題で予定していた研究内容のうち、約2分の1の内容が達成できている。3年間の研究計画の初年度としては、概ね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
アミノグリコシドによる薬剤性難聴に対する各種薬剤による予防効果を明らかにする。具体的には、LPSの投与前あるいは同時期に選択的炎症性サイトカイン阻害薬あるいは、 BBBの透過性を抑制することが報告されている薬剤を投与し、全身投与したGTTR の有毛細胞への集積を定量評価する。また、聴性脳幹反応検査にて聴覚閾値の変化を定量評価する。
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Causes of Carryover |
研究室に既存の実験機器および薬品の在庫が当初想定していたよりも多くあり、新規購入の必要がなかったものがあったため、次年度使用額が生じた。翌年度に予想される、機器の更新や薬品の新規購入に充てる予定である。
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