2022 Fiscal Year Research-status Report
脂質メディエーターに着目した好酸球中耳炎の感音難聴メカニズム解明と治療法探索
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22K09706
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤田 岳 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (90533711)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 好酸球性中耳炎 / 難治性中耳炎 / 脂質メディエーター / 蝸牛 / 難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
中耳炎には様々なタイプがあるが、内耳の障害まで至る症例は少ない。しかし、中に稀ではあるが、粘稠な中耳の貯留液を伴いながら治療に抵抗性で、次第に内耳の障害による難聴(感音難聴)が進行する重篤な中耳炎がある。好酸球性中耳炎は、中耳貯留液に強い好酸球浸潤を認める難治性中耳炎であり、進行する内耳障害・感音難聴を呈するが、その病態やメカニズムはよく分かっていない。本研究は、中耳貯留液中の脂質メディエーターが、好酸球性中耳炎の感音難聴進行メカニズムの鍵になると考え、脂質メディエーターが内耳蝸牛に及ぼす影響を検討することを目的としている。特に、1.好酸球性中耳炎患者さんの中耳貯留液に含まれる脂質メディエーターを網羅的・定量的に解析し、中耳貯留液中の脂質メディエーターのプロファイルを知ること。2. 測定されたそれぞれの脂質メディエーターが、内耳蝸牛に与える影響を、in vitro , in vivo 両面から評価し、好酸球性中耳炎における感音難聴進行メカニズムと治療方法を探ること。以上の2点を本研究の目的とする。脂質メディエーターの一つ一つは、プロスタグランジンやロイコトリエンなど、古くから研究されてきた生理活性物質であり、生体における動態や作用メカニズム、アゴニスト・アンタゴニストなども十分研究されている。そのため本申請研究により、内耳蝸牛への各脂質メディエーターの作用メカニズムが明らかになれば、既存の化学物質から治療薬の候補探索が比較的早く進められることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中耳貯留液から脂質代謝物を固相抽出/液液抽出した後、 液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS/MS)に供し、脂質メディエーターの網羅的解析を行った。その後、耳貯留液中から抽出した脂質代謝物を、内耳感覚細胞株 (HEI-OC1)に投与した後、RNAを回収し遺伝子発現をRNA-seqもしくはマイクロアレイ用いて解析し、脂質メディエーターが内耳感覚細胞に与える影響(障害パスウェイなど)を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き内耳感覚細胞株 (HEI-OC1)を用いた、in vitroによる検証を続けるとともに、今年度からは好酸球性中耳炎の中耳貯留液から抽出された脂質メディエーター(ミックス)をマウスの中耳に投与し、聴性脳幹反応(ABR)や耳音響放射(OAE)により聴力を生理学的に測定する。また死後に蝸牛を摘出し、蝸牛の薄切切片標本を作成、またsurface preparationも行い、脂質メディエーターによる蝸牛への影響を形態学的に観察するといった、in vivoの実験も行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度で端数まで使い切ることができなかったが、概ね予算通りに遂行しており、2023年度も当初の研究計画に基づいて使用する予定である。
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