2023 Fiscal Year Research-status Report
気道上皮膜輸送体とiPS細胞から明らかにする喘息気道における杯細胞化生の病態解明
Project/Area Number |
22K09709
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
吉江 進 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70705459)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | iPS細胞 / 分化 / 気道上皮 / 膜輸送体 / 杯細胞化生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究背景:喘息に伴う気道のリモデリングは、気道上皮の杯細胞化生、粘膜下腺過形成、基底膜下の線維化、平滑筋の肥厚を特徴とする。特に、異常な杯細胞分化によって引き起こる杯細胞化生は、杯細胞からの過剰な粘液産生によって気道閉塞をきたし呼吸不全を招くことから、杯細胞化生機構の解明が急務とされている。マウスiPS細胞から気道上皮組織への分化誘導過程において、Glibenclamideを添加した際に、杯細胞分化と粘液産生が促進されたことから、Glibenclamide標的膜輸送体が杯細胞化生に関与していることが示唆された。研究目的:本研究では、iPS細胞及び杯細胞化生モデルマウスを利用し、気道上皮膜輸送体の観点から喘息気道における杯細胞化生機構の解明を目指す。研究実施内容:Glibenclamideは、クロライドイオンチャネルであるCFTRチャネル、ATP感受性カリウムチャネル、多剤耐性トランスポータであるMDR等の機能を抑制することが知られているが、TRPチャネルであるTRPM4も標的とし、機能を抑制することが報告されている。このため、TRPM4も含めて気道上皮細胞で発現しているTRPチャネルをデータベースより網羅的に調べ、各々のチャネル阻害剤をiPS細胞から気道上皮組織への分化誘導過程において添加した。その結果、TRPM4やTRPV2の阻害剤を添加した際に、杯細胞マーカーであるMuc5acの発現量が上昇傾向にあった。また、ヒトiPS細胞から杯細胞化生モデルを作製するために、ヒトiPS細胞から気道上皮組織への分化誘導を試みた。ヒトiPS細胞から分化誘導した分化細胞は、胚体内内胚葉や前方前腸内胚葉マーカーの発現が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスiPS細胞から気道上皮組織への分化誘導効率がサンプル間でばらつき、TRPM4やTRPV2などの各種阻害剤を添加した際に得られる結果が一定ではなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウスiPS細胞から気道上皮組織へ分化誘導させる過程でTRPM4やTRPV2の阻害剤を添加した際に、杯細胞マーカーであるMuc5acの発現量が上昇傾向にあった。このため、リアルタイムRT-PCRによる遺伝子発現量の解析だけではなく、形態学的な解析も行い、杯細胞への分化を評価する。また、ヒトiPS細胞から気道上皮組織への分化誘導を試み、TRPM4やTRPV2などの各種阻害剤を添加した際に、杯細胞への分化が促進されるのかを検証する。
|
Causes of Carryover |
研究経過がやや遅れており、消耗品の購入が予定より少なかったため。繰越金額は翌年の消耗品の購入に充てる。
|