2023 Fiscal Year Research-status Report
一般地域住民に対する大規模疫学調査による加齢性難聴の遺伝的素因の解明
Project/Area Number |
22K09719
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐々木 亮 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (20451479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 健 弘前大学, 医学研究科, 教授 (10323289)
後藤 真一 弘前大学, 医学研究科, 助教 (10833577)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 加齢性難聴 / ミトコンドリア機能 / 一般地域住民 / 疫学的調査 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢性難聴の個人差に関しては、遺伝的素因も要因の一つとして挙げられており、環境要因などの暴露が加わることにより、代謝的ストレスを引き起こし、ミトコンドリアから発生したROSが蝸牛障害を引き起こすとされている。ミトコンドリアDNAハプログループは遺伝的に類似した特性を持つ集団である。令和4年度(2022年)にこのハプログループが加齢性難聴の進行にどのように影響するかを疫学的に検討し論文報告を行った。 岩木健康増進プロジェクト健診参加者において30歳から65歳までの698人を解析の対象とした。純音聴力検査を行い、不良聴耳の4000Hzと8000Hzの平均聴力レベルが25dB以上を難聴ありと定義した。遺伝子検査は全ゲノム解析を施行し、シークエンスマッピングにより日本における12の主要なハプログループを選定し、健診参加者をこれらのハプログループのいずれかに分類した。 多重ロジスティック回帰分析により、男性はハプログループAが有意に難聴になりやすい結果となり、女性はN9が有意に難聴になりにくい結果となった。 ハプログループAでは細胞内ROSレベルの上昇により難聴が進行しやすく、ハプログループN9ではROS漏出の減少により難聴の進行が抑制される可能性があると考えられた。 令和5年度には、加齢性難聴の原因となる遺伝的素因の候補としてNrf2に着目し検討を行った。プロ ジェクト健診参加者のうち、30~59歳の791人を対象とした。不良聴耳の 0.5、1、2、4kHz の平均聴力レベルが 25dB を超えるものを難聴群とした。NRF2 SNPホモ接合体(-617A/A)、ヘテロ接合体(-617C/A)、野生型(-617C/C)を持つ者をそれぞれAA群、CA群、CC群とし、難聴との関連について多重ロジスティック解析を施行した。その結果男性においてAA群が有意に難聴になりやすいことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
加齢性難聴の原因となる遺伝的素因の候補として着目した Nrf2に関しては論文を投稿中であるが、reviewに一年以上を要しており難渋している。 また全ゲノム解析のデータを用いて加齢性難聴と関連する遺伝子変異を見出す研究に関しては、未だ候補遺伝子のリストアップまでに止まっている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
Nrf2に関しては他誌へ投稿予定であり今年度前半でのacceptを目指す。 難聴に関連する因子の網羅的な解析を進める。 また加齢性難聴と関連する遺伝子変異を見出す研究に関しては、早い段階で実際に解析を進める。
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Causes of Carryover |
投稿論文料に使用予定であったが、論文投稿が済んでいない状況である。 また新規解析結果がまとまっていなかったため学会発表もできていない。 そのため、令和6年度は投稿論文料,旅費に使用する予定。
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