2022 Fiscal Year Research-status Report
p63陽性唾液腺癌の新規病態メカニズム解明と治療法の開発
Project/Area Number |
22K09729
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小幡 和史 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00548703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒瀬 誠 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60404696)
高野 賢一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70404689)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | p63陽性唾液腺癌 / タイト結合分子 / HDAC阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、治療困難な切除不能唾液腺癌に対する新たな治療法を開発することである。今回我々は、ヒト唾液腺組織から分離培養したp63陽性前駆細胞およびp63陽性唾液腺管癌細胞株(A-253)を用いて、癌化過程に密接な関与がみられるHDACシグナル、YAP/TGF-βシグナル、EGFRシグナル、JNKシグナルおよびRho/ROCKシグナルに焦点を当てp63陽性唾液腺癌の新規病態のメカニズムを解明し、HDAC阻害剤を含めたシグナル伝達阻害剤を用いた新規治療法につなげる。 今年度の研究実績として、A253にHDAC阻害剤(TSA, JNJ)、TGF-β1受容体阻害剤(EW)とJNK阻害剤(SP)を投与することでタイト結合分子が増加し、バリア機能が上昇することをWestern blotや免疫染色、透過電子顕微鏡、TEERアッセイなどで確かめた。また、細胞外フラックスアナライザー(XFe Series)を用いて、p63陽性唾液腺腺管前駆細胞およびp63陽性唾液腺癌細胞株に対しp63発現低下させることで、ミトコンドリア代謝能の明らかな低下がみられた。 これらの結果から、p63は唾液腺腫瘍の診断マーカーとして利用できる可能性があるだけでなく、悪性化を促進させる重要な分子であることが示された。また、HDAC およびシグナル伝達阻害剤は、p63発現の抑制を通じて、p63陽性唾液腺癌の細胞増殖、細胞移動、および細胞代謝を抑制し、タイト結合分子を誘導し、細胞分化を促進することが明らかとなった。これらの結果は、p63陽性唾液腺癌に対しHDAC阻害剤やp63の抑制が癌治療に応用できる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、A253細胞株を用いたp63抑制による癌抑制、タイト結合分子のバリア機能などの上昇などが実際に確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
唾液腺癌のエストロゲン依存の有無について評価する。また、p63陽性唾液腺間前駆細胞を用いた検討を予定通り進めていく。これらの検討を行うことで、p63陽性唾液腺癌のp63の発現メカニズムをさらに詳細に解析し、p63をターゲットした癌治療に結びつけていく。
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Causes of Carryover |
研究のための試料購入に充てる。
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