2023 Fiscal Year Research-status Report
Basic science research for establishment of high-dose IgG therapy for post-traumatic olfactory dysfunction
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22K09742
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石神 瑛亮 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (90835571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正佳 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (80343218)
西田 幸平 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (10456733)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 嗅覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は嗅神経切断時に高用量IgGが嗅神経再生に対して及ぼす効果を組織学的、行動学的に検討した。 まず、組織学的に嗅神経を容易に視覚的に確認可能なOMP-tau-lacZ マウスを全身麻酔下で前頭開頭し、ステンレスカッターで一側の嗅神経を切断した。なお、対側はコントロールとして神経切断を行わずとした。閉頭後、動物を覚醒させ、手術直後にIgGまたは生理食塩水を腹腔内注射し、低用量、高用量の2種類のIgG投与群とコントロールとしての生理食塩水投与群の計3群を設けた。術後5日目、14日目、42日目、70日目に、それぞれマウスを固定、脱灰し、組織切片を染色してCCD カメラでデジタル画像化し、嗅神経の再生、グリア瘢痕形成、炎症マーカーとしてマクロファージの局所浸潤を定量測定した。なお、嗅神経はX-Gal 染色で嗅神経と嗅球の糸球体を可視化した。グリア瘢痕はニュートラルレッド染色で確認した。活性化星状膠細胞は抗GFAP 抗体の、マクロファージは抗CD68 抗体の免疫染色で確認した。この結果、高用量IgG投与群では用量依存性にグリア瘢痕増生とマクロファージ局所浸潤の抑制が有意に生じ、嗅神経の嗅球再支配が有意に促進した。 次に、行動学的実験による検証は以下のように施行した。まず、マウスに0.01%ナラマイシン(シクロヘキサミド)水溶液を用いて条件付けの嫌悪学習を施行した。 次に、嫌悪学習に成功したマウスに対して、嗅神経切断と高用量IgG投与を行い、術後経日的にナラマイシンに対する忌避行動の程度を確認し、嗅覚機能の回復の有無を確認した。その結果、生理食塩水投与のコントロール群は嗅覚機能回復が不十分であったのに対して、高用量IgG投与群は有意に嗅覚機能の回復が認められた。 以上から、高用量IgGが嗅神経切断後の嗅神経再生を促進し、嗅覚機能も回復させることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの研究が遂行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、高用量IgG投与により嗅覚機能の回復程度が容量依存性にどのような結果を示すかを行動学的実験で詳細に確認する。
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Causes of Carryover |
(理由) 購入予定であった物品の一部が、他研究室で不要になったものを使用させていただくことで、購入を節約することができたため。 (使用計画) 引き続き予定通りの研究計画遂行の必要経費として使用する予定。
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