2022 Fiscal Year Research-status Report
フレイル予防を目的としたバランス障害のバイオマーカーの探索と新規治療開発
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22K09752
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
五島 史行 東海大学, 医学部, 准教授 (80286567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 栄一郎 東海大学, 医学部, 教授 (00255457)
室伏 利久 帝京大学, 医学部, 教授 (30242176)
北原 糺 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30343255)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オートファージー / 培養細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、温度感受性SV40 Large T抗原遺伝子導入トランスジェニックマウスの卵形嚢上皮より樹立された前庭上皮培養細胞UB/UE-1を用いた。予備実験にて、UB/UE-1を小胞体ストレス誘導剤ツニカマイシンで低濃度(0.05, 0.1, 0.5μg/ml)0-48h処理して、細胞増殖率は時間依存性に低下するが細胞生存率は低下しない前庭上皮細胞老化誘導の最適化条件(0.1μg/ml、48h)を確定した。前庭上皮老化細胞は、位相差顕微鏡では平坦で膨隆し、SA-βgal陽性細胞も有意に増加したことを確認した。透過型電子顕微鏡下において、膨化した小胞体と凝集体、リポフスチン、細胞内オルガネラを含有した未熟な状態のオートリソソームも点在していることを確認した。この条件下での、オートファジー誘導に関する検討を行った。オートファジー モニタリングマーカーであるLC3-Ⅱとp62の発現は、24hをピークに誘導され、その後低下した。前庭上皮老化細胞におけるオートファジーの分解能を評価するため、フラックスアッセイを行った。バフィロマイシンA1をツニカマイシン(0.1μg/ml)と同時投与し24h処理した場合、ツニカマイシン単独投与と比較して、LC3-Ⅱの発現は増加したが、SA-βgal陽性細胞も有意に増加することを確認した。この結果は、ツニカマイシン低濃度処理前庭上皮細胞老化誘導にはオートファゴソームとリソソームの融合能低下が重要な役割を果たしていることを示している。 次に、前庭上皮老化細胞を誘導するexosome(exo)-miRNAを探索するため、ツニカマイシン低濃度処理UB/UE-1の培養上清からExoQuick-TCを用いてエクソソームを単離抽出し、ウエスタンブロット法によりエクソソーム表面マーカーCD81の発現を確認し、透過型電子顕微鏡下において細胞外小胞抽出液内に二重膜構造を持つ100-200nm程の小胞を認め、エクソソームが正確に単離されたことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究環境の体制作りに予想以上の時間がかかったこと、コロナ渦で業務時間が不安定であったことがあげられる。研究資材についても入荷時期が遅延するなど研究遂行には足かせとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
前庭上皮細胞老化由来exo-miRNAのプロファイリングを行い、前庭上皮細胞老化に特異的に誘導する可能性のあるmiRNAをピックアップする。 ラット前庭神経節初代培養細胞と株化シュワン細胞IFRS-1との共培養を、接続式細胞培養容器NICO-1にて行う。ラット前庭神経節初代培養細胞に小胞体ストレス低濃度処理を行い、前庭神経における細胞老化の評価をSA-β-galの発現から、細胞興奮の低下をp-ERKの発現低下より評価する。
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Causes of Carryover |
コロナ渦で学会旅費が想定外に低額であった。次年度の学会旅費として使用する予定である。
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