2023 Fiscal Year Research-status Report
Proliferation of retinal progenitor cells and new retinal regenerative medicine by inhibition of Ambra1 function
Project/Area Number |
22K09777
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 崇弘 東海大学, 医学部, 准教授 (40384896)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 健人 東海大学, 医学部, 客員教授 (50235363)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | Ambra1 / 細胞分裂 / 網膜前駆細胞 / 網膜再生 / 糖尿病網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病網膜症は世界の主要な失明原因の一つであり,新たな治療法の開発が求められている.我々はこれまで,神経系の発達に不可欠な遺伝子として見つかり,オートファジー進行に重要な役割を担うことが知られていたAmbra1に着目してきた.糖尿病や網膜疾患におけるオートファジーの重要性が報告される中、オートファジー不全は糖尿病網膜症を増悪することが予想された.我々は,Ambra1を薬剤依存的に欠失させるコンディショナルKO(cKO)マウスを世界に先駆け作製し,糖尿病網膜症への影響を解析した.その結果,予想外にも,Ambra1の欠損が網膜前駆細胞と思われる一部の網膜細胞の増殖を誘導することを見出した.網膜前駆細胞が網膜神経細胞へ分化することは知られているが,現状では治療へ結びついていない.最近、Ambra1は主要な細胞増殖調節因子であることが報告された.本研究では,網膜障害時に出現する網膜前駆細胞をAmbra1の機能阻害により増殖させ網膜再生を促す,新たな糖尿病網膜症治療の開発を目指す.我々はAmbra1欠損マウスの網膜の解析から,2022年度までにAmbra1の機能阻害によりミューラーグリア細胞由来の網膜前駆細胞の増殖を亢進し,それが網膜炎症を軽減するという知見を得ることができた.2023年度は,それらの機序を解明すべく,Ambra1の重要な役割の一つであるオートファジーの制御と糖尿病網膜症の関連を検討,2型糖尿病マウスにおけるインスリン依存性AKT/WNK1経路の抑制がオートファジーを誘導する可能性を見出し,それらの知見は雑誌「Diabetes, Metabolic Syndrome and Obesity」に掲載された.引き続き詳細な解析により、Ambra1の機能阻害による網膜前駆細胞の増殖と、糖尿病網膜症を含む網膜炎症に対する抗炎症効果とその機序について研究を進めたいと思っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ambra1をノックアウトしたマウスでは、コントロールと比較してミューラーグリア細胞の増殖を亢進すること、またそれが網膜炎症を軽減する可能性、さらには2型糖尿病マウスにおけるインスリン依存性AKT/WNK1経路の抑制がオートファジーを誘導する可能性という新たな知見を得ることができたことより、順調に研究は進展していると自己評価するものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、Ambra1の機能阻害と、糖尿病網膜症を含む網膜炎症に対する抗炎症効果について、網膜再生を含むその機序をさらに解明するべく、Ambra1欠損に糖尿病を誘導したマウスを用いた研究も予定している。
|
Causes of Carryover |
必要な抗体が残金より高額であったため翌年に持ち越し、次年度に金額を合わせて、同抗体を購入予定です。
|