2022 Fiscal Year Research-status Report
メトフォルミンとヒドララジンによる老視と白内障抑制機構の解明
Project/Area Number |
22K09779
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
久保 江理 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10262619)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 白内障 / 酸化ストレス / メトフォルミン / ヒドララジン / Nrf2-酸化ストレス応答系 / 糖化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,メトホルミン(Met)とヒドララジン(Hyd)の投与によるNuclear factor erythroid 2-related factor 2 (Nrf2)-酸化ストレス応答系を介した内因性抗酸化タンパクの発現調節やAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)シグナルの活性化による抗糖化作用について解析した。MetとHyd点眼による,水晶体のNrf2/ARE抗酸化経路を活性化についてin vivoで解析した。16月齢の高齢ラットにMet点眼を8日間施行したところ,水晶体にMetの移行を超高速高分離液体クロマトグラフによる測定で確認した。さらに, 水晶体樹皮細胞(LEC)におけるのNrf2誘導抗酸化タンパク(Peroxiredoxin6, NQO1)のmRNA, タンパク発現が上昇した。Met点眼によりAMPK活性が上昇し,Nrf2タンパク発現が上昇し,Nrf2の核移行も上昇していた。次に,Metの糖化ストレスに対する影響を培養実験で確認した。マウス培養LEC (mLEC)とヒト培養LEC (HLEC)を,最終糖化産物(AGE) (0.5mg/ml)負荷+Met(1mM)またはAMPK阻害剤のCompound C (10μM)またはAGE阻害剤のアミノグアニジン添加培養液で3日間処理したところ,AGEs負荷のみでは細胞生存率が減少していたが,Met(1mM)添加群,Compound Cまたはアミノグアニジン添加群で有意に細胞生存率の上昇が確認できた。よって,本研究結果よりMetは点眼により,LECに移行し,酸化ストレス応答系を介した内因性抗酸化タンパクの発現をin vivoで上昇させることが明らかとなり,またMetは糖化ストレス抑制作用があるをin vitroで確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の順番は前後しているが、実験計画は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、予定の実験計画に沿ってHLECにおけるMetとHyd投与による分子機構を網羅的なプロテオミクス・スクリーニング解析で行うとともに、MetとHyd投与によるクリスタリン凝集、架橋抑制についてのin vitro実験を行う予定である。さらに、白内障動物モデルをもちいて、MetとHyd点眼による白内障抑制効果についてin vivoにて解析していく。
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Causes of Carryover |
研究試薬等の欠品等にて、今年度に納入されなかったので、次年度分と合わせて物品の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)