2023 Fiscal Year Research-status Report
メトフォルミンとヒドララジンによる老視と白内障抑制機構の解明
Project/Area Number |
22K09779
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
久保 江理 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10262619)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水晶体 / 白内障 / 酸化ストレス / メトフォルミン / ヒドララジン / DNAマイクロアレイ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヒト培養水晶体上皮細胞における、メトフォルミン(Met) とヒドララジン(Hyd)投与による遺伝子発現変化を網羅的に解析するために、DNAマイクロアレイ解析を施行した。1mM Metまたは10μM HydをHLECの培養液に添加し、24時間培養の後に、RNA抽出を施行した。DNAマイクロアレイ解析は、ClariomTM D arrayを用いて施行した。Met添加群では、コントロール(無添加群)と比較して、既知遺伝子(Coding)のうち、52遺伝子の発現が0.5以下に減少しており、82遺伝子の発現が2倍以上に増加していた。Hyd添加群では、コントロール(無添加群)と比較して、既知遺伝子(Coding)のうち、276遺伝子の発現が0.5以下に減少しており、162遺伝子の発現が2倍以上に増加していた。これらの結果より、Nrf2/ARE抗酸化経路に関連する遺伝子の発現は変化がなかった。現在、これらの変化があった遺伝子を解析しており、Met投与により発現が減少していたThioredoxin-interacting protein (TXNIP)に注目し、Real time PCR法により、マイクロアレイ法で得られた結果(発現低下)を再確認した。TXNIPは、加齢や酸化ストレスに誘導されるnucleotide oligomerization domain (NOD)-like receptor family pyrin domain containing 3 (Nlrp3) inflammasomeの活性化にも関係する因子であり、Metによる白内障抑制効果の重要な下流因子となることが、推測されている。さらに、今後詳細を解析し、Metによる白内障抑制メカニズムを明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロテオソーム解析が費用的に困難であったため、DNAマイクロアレイ解析法に変更したが、研究計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度、最終年度ではMetとHyd点眼による白内障動物モデル(ARCモデルマウスとGSH抑制核白内障ラットモデル)の水晶体硬化,蛋白凝集,白内障抑制効果をin vivoで観察・解析する計画を行う予定である。また、マイクロアレイ解析の結果より得られたTXNIP-NLRP3 inflammasomeの活性化と酸化ストレスや白内障との関連についても解析を進める。
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Causes of Carryover |
次年度に動物実験を行うため、使用動物や飼料の価格が上がっており、その費用の補填として必要であったため。
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