2022 Fiscal Year Research-status Report
トレハロースによる緑内障チューブシャント手術後の結膜瘢痕化抑制
Project/Area Number |
22K09783
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
工藤 孝志 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (20598718)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トレハロース |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、緑内障は日本人の失明原因の第一位である重要な疾患であり、難治症例の治療はチューブシャント術が選択されることが多くなってきているが、術後の瘢痕形成が問題となっている。先般、申請者が所属 する研究室ではトレハロース点眼が結膜下線維芽細胞や結膜腫瘍細胞の増殖抑制作用 を示すことを明らかにした(特許第 5685751 号、平成27年1月30日登録)。その作 用機序は間葉系分裂増殖細胞のアポトーシス誘導であるが、その一方で、上皮細胞へは保護的に作用することも分かっている。今回、トレハロースの特異な保護作用を緑内障治療へ応用し、緑内障術後の結膜下瘢痕抑制効果を基礎的および臨床的両面から明らかにすることを目的に研究を行う。本研究によりトレハロースという毒性のほとんどない物質の点眼による濾過胞瘢痕形成抑制効果が明らかになれば、術後濾過胞維持を通して緑内障治療成績の改善へ大きく貢献できることになる。 進行症例への緑内障手術は、線維柱帯切除術やチューブシャント手術などの眼房水を結膜下に逃がす経路を人工的に作製する濾過手術が基本となる。その中で、今回研究対象とするチューブシャント手術は、眼内にチューブを挿入し、そこからつながるプレート部を眼球赤道部の結膜下に固定、眼房水をチューブを通してプレート部から結膜下に流出させ、眼圧を下降させる術式である。 本手術は術後の結膜下組織の線維芽細胞増殖による瘢痕形成がその効果を左右する。現状ではステロイド点眼で結膜下瘢痕抑制を図ること以外、治療者側で瘢痕化抑制を制御する手段はほぼ無く、症例個々の結膜下瘢痕の生じやすさにより、術後成績が左右される。将来、トレハロース点眼により術後の結膜下瘢痕を抑制できるならば、今回のチューブシャント手術をはじめとする緑内障濾過手術の成功率が現在以上に向上する可能性があり、その効果はきわめて大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例1例1例への手術手技の安定化及び、術後管理の一定化を目指して、検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
当院倫理委員会に治験施行の承認を取得し、実際の検討に入る。
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Causes of Carryover |
次年度の研究を充実させた方が研究遂行上、有益であると判断し、今年度の計画を見直した結果、当初予定額との差額が生じた。令和5年度は倫理委員会に必要な費用及び臨床研究に必要な費用を使用する。
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Research Products
(2 results)