2023 Fiscal Year Research-status Report
トレハロースによる緑内障チューブシャント手術後の結膜瘢痕化抑制
Project/Area Number |
22K09783
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
工藤 孝志 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (20598718)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トレハロース / 緑内障 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在も緑内障は日本人の成人中と失明原因の第一位である重要な疾患である。点眼などの内科的治療で治療の限界を迎えた患者さんは、手術加療を要するが、現代の緑内障手術は多種多様となっており、比較的軽症の患者さんには小切開の低侵襲緑内障手術から、難治症例の治療は線維柱帯切除術やチューブシャント手術といった濾過手術が選択されることが多くなっている。濾過手術はどの術式でも術後の結膜下瘢痕形成により、術後成績不良となってしまうケースもみられ、その結膜下瘢痕形成の度合いは症例により異なる。濾過手術はいわば最後の砦となる手術法であり、この術後成績を安定させることが、より多くの患者さんの視力を守ることになると期待する。特に緑内障チューブシャント手術は術後の医師側の術後処置などで成績を左右させる要素は少なく、患者さん個々の結膜下瘢痕化の強さによって術後成績が決まる。当教室では以前トレハロース点眼が結膜下線維芽細胞や結膜腫瘍細胞増殖抑制作用を示すことを明らかにした。このトレハロースの得意な保護作用を緑内障治療へ応用したく、本研究を計画した。 昨年度は、2022年におけるMIGS failure後のAhmedチューブシャント手術術後成績を調査した。MIGSとは上記記載の小切開の低侵襲緑内障手術である。初回手術として低侵襲な手術を選択し、眼圧下降不十分な症例にAhmedチューブシャント手術を施行した症例の術後成績調査である。概ね術後経過は良好であり、2024年度の臨床眼科学会総会に演題提出する予定である。しかし一方で、一部の患者さんは眼圧下降が十分でない症例もみられ、このような症例がトレハロース点眼により、結膜下瘢痕形成が弱まり、術後成績が向上するかを検討したいと考えている。トレハロース点眼による介入研究を学内倫理委員会に通すべく、現状に即した研究方法などを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床業務が多忙であり、現状では研究を行う時間の確保や、倫理委員会に通すことが困難である。従って、まだトレハロース点眼を用いた介入研究は行うことが出来ていないが、昨年度は関連する研究として、2022年1月~12月における小切開低侵襲緑内障手術failure後のAhmedチューブシャント手術術後成績を調査した。概ね術後経過は良好であり、2024年度の臨床眼科学会総会に演題提出する予定である。また、一昨年度にAhmedチューブシャント手術を行った症例で、重傷な上脈絡膜出血を合併した症例があり、その経過を第34回日本緑内障学会総会で発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究業務を行う時間を確保し、鋭意進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度も必要経費を使用させていただいたが、弘前大学眼科学講座にある物品で賄えたものが多く、予算は持ち越しとなった。今年度は、必要に応じ物品の購入や学会発表の旅費などで使用する見込みである。
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