2022 Fiscal Year Research-status Report
加齢黄斑変性の予後改善を目指した治療抵抗例の検討とGLP1刺激による新規治療開発
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22K09793
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大石 明生 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (50572955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 祥 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (40936548)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 滲出型加齢黄斑変性 / 脈絡膜新生血管 / GLP-1 / インクレチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は滲出型加齢黄斑変性について、現行の治療を行っているにも関わらず視力が低下する症例を詳しく調べることでその対策を検討すること、動物実験によって新しい作用機序の治療法を開発し治療抵抗例への選択肢を増やすこと、の二つのアプローチによるものである。 一つ目の検討については、現行の治療を行い4年間経過観察が出来た76例を対象に、経過中に3段階以上の視力低下を起こした頻度と原因、経過を調べた。結果、30例でこのような視力低下が起きており、一時的には回復することも多いものの、最終的には視力不良の因子となることを見出した。原因としては網膜浮腫や出血の増悪、萎縮の進行、線維性瘢痕の形成など様々なものが、様々なタイミングで生じていたが、網膜色素上皮裂孔の発生は最初の一年に集中していた。またこれと関連して、治療にて一旦寛解が得られた49例を調査した別の研究で、1年間の再発率が33%、2年間で48%と、一定数の再発があり、特に1年目に多いことを見出した。最初の1年間の治療が重要であると思われた。 動物実験については、マウスに対しレーザーを照射することで脈絡膜新生血管を生じさせるモデルにおいて、レーザー照射直後からglucagon like peptide 1 (GLP1)アナログを全身投与することで、形成される脈絡膜新生血管のサイズが小さくなること、GLP1アナログの全身投与と同時に眼内にGLP1受容体の阻害剤を投与するとその作用が失われること、GLP1アナログの全身投与により、網膜でのTNFα、IL1β、 IL6など炎症性サイトカインの発現が減少していることを見出した。GLP1アナログは既に臨床で使用されている薬剤が多くあり、安全性は確認されている。これらの薬剤が滲出型加齢黄斑変性の治療に使える可能性を示した意義は大きいものと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績概要のように臨床研究、動物実験とも一定の成果を得ることが出来た。 特に臨床研究については上記の二報は受理されており順調に進んでいる。現在症例の追加、追跡期間の延長、新しい薬剤の影響などの検討を行っている。 動物実験についても主要なデータは固まっており、大きな方向性は問題ないものと考えている。現在は主に作用機序についての検討を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究については日本赤十字社長崎原爆病院、国立病院機構長崎医療センターとの共同研究体制を作り、症例数を増やすことを検討している。それに加え、より長期間での検討、新たに使用可能になった薬剤の影響を検討をする予定である。 動物実験については、ターゲットとなる薬剤で効果が出ることは確認できているため、どのように作用しているのかを、特に炎症、酸化ストレスの経路を中心に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
残額は4294円であり、ほぼ予定通りの執行と考える。翌年度の物品購入に充てる予定である。
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Research Products
(15 results)