2023 Fiscal Year Research-status Report
加齢黄斑変性の予後改善を目指した治療抵抗例の検討とGLP1刺激による新規治療開発
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22K09793
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大石 明生 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (50572955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 祥 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40936548)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 滲出型加齢黄斑変性 / 脈絡膜新生血管 / GLP-1 / インクレチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は滲出型加齢黄斑変性について、現行の治療の限界およびその対策を検討すること、動物実験によって新しい作用機序の治療法を開発し治療抵抗例への選択肢を増やすこと、の二つのアプローチでこの疾患への治療の改善を目指すものである。 一つ目の検討については、これまでの治療に抵抗性であった症例を新たに承認となったファリシマブでの治療に切り替えることで、約1/3の症例で必要となる治療の間隔が2週間以上延長出来ること、この切り替えの成功にはポリープ状病巣と呼ばれる所見がないこと、脈絡膜が薄いこと、治療前の投与間隔が短いことが寄与することを報告した。(第77回臨床眼科学会、Life in press)また滲出型加齢黄斑変性の治療では導入期と呼ばれる3回の毎月投与をすることが一般的であったが、ファリシマブを用いてこれを省略し負担を減らした治療でも同等の効果が得られることを示した。(第62回網膜硝子体学会) 動物実験については、マウスに対しレーザーを照射することで脈絡膜新生血管を生じさせるモデルにおいて、昨年までにレーザー照射直後からglucagon like peptide 1 (GLP1)アナログを全身投与することで、形成される脈絡膜新生血管のサイズが小さくなること、GLP1アナログの全身投与と同時に眼内にGLP1受容体の阻害剤を投与するとその作用が失われること、を報告していたが、本年度は免疫染色を追加し、網膜内でのGLP1受容体の発現は網膜色素上皮細胞の基底側、網膜神経節細胞の一部など網膜全体ではなく限られた領域にあることを見出した。(未発表データ)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績概要のように臨床研究、動物実験とも一定の成果を得ることが出来た。 臨床研究については昨年の計画の通り日本赤十字社長崎原爆病院、国立病院機構長崎医療センターとの共同研究体制を構築した。これにより昨年の検討からさらに、新たな薬剤の効果を追加した検討の報告を出すことが出来た。 動物実験についても十分なデータがあり、現在論文をまとめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年の我々の発表に興味を持ってもらった鹿児島大学眼科との共同研究を開始し、新たに使用可能になった薬剤の効果を検証をする予定である。 動物実験については、まず論文を投稿し査読者のコメントに対応する実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
繰り越しは3484円であり、ほぼ計画通りと考える。 鹿児島大学と共同研究する予定となったので、打ち合わせの旅費などに充てる予定。
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Research Products
(13 results)