2023 Fiscal Year Research-status Report
疾患関連マイクログリアクラスター制御による視神経保護治療
Project/Area Number |
22K09805
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大石 路子 東北大学, 医学系研究科, 学術研究員 (80454875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 孝太 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50732327)
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | GPR84 / 視神経挫滅 / 活性化マイクログリア / 緑内障 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は視神経挫滅時に特異的にTNFおよびIL1αを発現するマイクログリアクラスターのマーカー遺伝子としてGPR84を同定した。この特異性を明らかにするため、GPR84と従来報告されているM1マイクログリアに発現するマーカー遺伝子(CD64、86)をTNFおよびIL1αの経時的発現パターンと比較したが、GPR84がより強い相関を示した。これよりGPR84は視神経挫滅時に発現されるTNFおよびIL1αを発現する疾患特異的マイクログリアの特異的なマーカーであることを改めて示した。 一方で、老化は緑内障の危険因子のうちの重要な一つである。そこで、およそ2年齢の老齢マウスの視神経挫滅モデルを作製してIba1-EGFP陽性網膜マイクログリアのシングルセルRNA Seq解析を行い、視神経挫滅後のマイクログリアクラスターの経時的変化を検討した。この結果、老齢マウスでも同様の炎症性サイトカインを発現するGPR84陽性の疾患特異的マイクログリアクラスターが存在し、視神経挫滅後4日目にこの割合が増加した。若齢マウスでは4日目にその割合は約6割まで上昇したが、老齢マウスではこの増加が3割程度にとどまった。一方で若齢では正常時4%程度であったこのクラスターが老齢マウスでは9%と少し高い傾向がみられた。これらの結果を昨年度の解析データに追加し、今年度以下の論文が受理された。 K.Sato, Michiko Ohno-Oishi,etal., 2023,Glia
さらに、GPR84の下流シグナル伝達経路の解析の為、GPR84 KOマウスの視神経挫滅モデルより分取したマイクログリアのバルクソートRNA Seq解析も進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GPR84 KOマウスを譲渡してもらうことができた為研究がスムーズに進行し、今年度Glia誌に論掲載することができ、順調に研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
GPR84 KOマウス視神経挫滅モデルマウスより分取したマイクログリアのバルクソートRNA Seqについてさらに解析を進めるとともに、GPR84発現疾患特異的マイクログリアの発現を抑制する方法について検討する。 また、緑内障では疾患特異的マイクログリアが分泌する炎症性サイトカインによりアストロサイトが活性化され、病態形成が起こることが知られている。そこで、疾患特異的マイクログリアの発現に続いて起こる活性化マイクログリアの解析を進める。具体的には、TNFおよびIL1αのWTおよびGPR84 KOマウス硝子体注射後の網膜中の活性化アストロサイトのマーカー遺伝子の発現をRT-qPCRにて検討する。
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Causes of Carryover |
活性化マイクログリアやアストロサイトの解析をするにあたり、FACS試薬等を新たに購入する必要があるため。
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