2022 Fiscal Year Research-status Report
Naive型多能性幹細胞の多分化能修復による分化指向性と眼関連細胞発生機序の解明
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22K09813
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片山 朋彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員(常勤) (80897942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 竜平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (70535278)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / Naive化 / 角膜上皮 / 分化指向性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では株間差による分化誘導効率の相違の要因と思われる多能性幹細胞の分化指向性の機序を明らかにすることが目的である。初年度では多能性幹細胞の分化指向性の克服のため、これまで眼関連細胞の誘導方法であるヒト眼オルガノイド:SEAM(Hayashi R et.al. Nature 2016.)を用いて角膜上皮細胞の誘導が困難であった多能性幹細胞(3株)を利用し、多能性幹細胞のNaive化の誘導を実施した。既報であるケミカルリセッティング法(Y.Takashima et al. Cell 2014, G.Guo et al. Development 2018)を用いて遺伝子改変無くNaive化の誘導を行った。Naive誘導し、数継代培養を行った細胞は、代表的なNaiveマーカーであるTFCP2L1, KLF17, DPPA5らの発現がqPCR、免疫蛍光染色によって確認できた。これにより本年度の研究計画予定通りにSEAM誘導を介した角膜上皮細胞の誘導が困難である多能性幹細胞3株からNaive-iPS細胞の作製が完了できた。現在、詳細なNaive状態の確認を行うと共に、追加のNaive-iPS細胞の作製に取り組んでいる。また、作製できた3株のNaive-iPS細胞を使用し、SEAMを介した角膜上皮細胞の誘導が可能であるか、既に分化誘導実験を開始している。現時点では、Naive化以前のiPS細胞では困難であったSEAM誘導が、Naive化を介することで正常なSEAM構造を誘導できていることが確認できており、特に角膜上皮前駆細胞が発生、出現していることを確かめている。よって本研究の狙いである多能性幹細胞のNaive化による分化能の改善、が有効であることが示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた多能性幹細胞(SEAMを介した角膜上皮細胞の誘導が不純なiPS細胞3株)のナイーブ化の誘導を実施した。Naive化の誘導を行った多能性幹細胞は、Naiveマーカーの発現を有し、形態的にNaive-iPS細胞と判断できた細胞が得られた。現在、詳細なナイーブ化の確認及び、Naive-iPS細胞を利用してのSEAM法を用いた角膜上皮細胞の誘導を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究結果により、目的の多能性幹細胞からNaive化iPS細胞を獲得することができた。今後は、これらの細胞を用いて、SEAMを介した眼関連細胞誘導を行い、特に角膜上皮細胞の誘導が分化指向性の克服により可能であるか見極め、さらに角膜上皮細胞を中心に眼発生機構の詳細なメカニズム及び発生機序を明らかにしていく。そしてNaive化された多能性幹細胞と元の細胞を比較し、DNAメチル化の観点や遺伝子発現の差異を評価し、角膜発生に必須な因子を特定することに取り組む。
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