2022 Fiscal Year Research-status Report
損傷後視神経における神経-グリア連関による新規再生メカニズムの解析
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22K09844
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
郡山 恵樹 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (70397199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 絢子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (10455537)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経再生 / グリアコーディング / アストロサイト / グリア瘢痕 / 視神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜-視神経系は発生学的に中枢神経系に分類される。視神経に損傷を受けるとグリア瘢痕形成により網膜神経節細胞(RGC)が死滅するのみならず、軸索再伸長が阻害され、再生や機能回復が困難であるとされてきた。一方、反応性アストロサイト集積による早期グリア瘢痕形成は、炎症性細胞の浸潤を抑制し、修復に対し促進的に働くという報告と、炎症性細胞は再生分子を放出するという報告がなされており、神経再生における各種グリア細胞機能の役割には不明な点が多い。損傷された視神経が再生困難な主な理由は、損傷部の組織修復反応の結果としてのグリア瘢痕形成にある。グリア瘢痕は組織損傷部に遊走能をもった反応性アストロサイトが集積し、軸索伸長阻害を起こす。また我々は、損傷により浸潤される炎症性細胞はオンコモジュリン産生により神経再生を促すことを報告した。さらに、再生阻害環境克服とオンコモジュリン処理により神経損傷後の著しい再生が、視覚機能を回復させることを世界で初めて成功させた。本研究ではアストロサイト特異的に発現し、その移動に関与するNdrg2の欠損マウスを用いて視神経損傷後のグリア瘢痕の形成とそれに伴う炎症性細胞の挙動及びそれらが放出する因子の意義を調べ、視神経再生における「神経―グリア」および「グリア―グリア」相関のメカニズムを精査し、新たな視神経修復戦略へのヒントを見出すことを目的としている。 Ndrg2の網膜内および視神経内局在と視神経損傷後の経時的変化を、野生型(WT)と欠損型(Ndrg2KO)において、Ndrg2抗体をもちいたウェスタンブロットで把握した。欠損型において、Ndrg2の量が低下していることが確認された。また、野生型(WT)と欠損型(Ndrg2KO)において視神経損傷後の再生の程度を確認した結果、Ndrg2KOにおいて、神経再生の程度が多かったことが分かってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型(WT)と欠損型(Ndrg2KO)の動物はあらかじめ継代されていたため、スムーズに研究に入ることができた。また、これまで培ってきた研究技術を用いた内容であるため、非常にスムーズに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
軸索再生とグリア瘢痕(GFAP(アストロサイト))、炎症性細胞(ED-1(マクロファージ)、Iba1およびF4/80(ミクログリア)、CD11b(単球))、オンコモジュリン(再生分子)、CSPG(再生阻害分子)の多重免疫染色を実施してそれらの外環境と神経軸索再生を関連づける。各群において炎症性細胞とアストロサイトの損傷後の位置関係を免疫染色で定量化し、アストロサイトが炎症性細胞の浸潤範囲のコンパクションを起こすかどうか確認する。CLARITY法を用いた視神経の透明化を確立しつつあるが、尿素を用いた手法であるため、免疫染色に応用が不可能である。そこで、電気泳動による脂質成分を除去した当たらな透明化技術を用いて、透明度のより高いサンプルを作製し免疫染色の条件を検討する。
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Causes of Carryover |
視神経再生のマーカー(蛍光色素つきのコレラトキシンB(CBT))を購入予定としており、染まる条件を探していたが、なかなか条件が決まらなかったためCTB購入を次年度に見送った。また、代替の染色マーカーであるGAP43抗体購入に切り替えることも考える。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Front Pharmacol.2022
Author(s)
Ooi H, Nasu R, Furukawa A, Takeuchi M, Koriyama Y.
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Journal Title
Front Pharmacol.
Volume: 13
Pages: 921611
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] ヒトの健康に対するToxic AGEs (TAGE) の影響2023
Author(s)
竹内正義, 逆井(坂井, 亜紀子, 高田尊信, 郡山恵樹, 古川絢子, 瀧野純一, 長嶺憲太郎, 堀隆光, 菊池千草, 堀英生, 岩尾岳洋, 松永民秀
Organizer
第143年会 日本薬学会
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