2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K09848
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
仁科 幸子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児外科系専門診療部, 診療部長 (40237954)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 斜視 / 周期性斜視 / 遺伝的要因 / イノシトールリン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
応募者は、国立成育医療研究センター眼科で診療活動を行い、多様な難治性眼疾患に遭遇する機会が多い。周期性斜視とは、斜視の日と斜視のない日が周期的に交代する特殊な斜視であり、原因は不明である。48時間もしくは24時間周期が次第に崩れて恒常性となり、手術治療を契機に斜視が軽快するがその機序も明らかでない。応募者は、本疾患の原因は遺伝的要因が関与すると考えている。本研究では、特殊な斜視である「周期性斜視」の遺伝的要因の同定を目的とした。これまでに周期性斜視8例の臨床経過を解析し、うち周期性内斜視5歳女児と周期性外斜視10歳女児の2例のゲノム解析を行い、エクソン領域に点変異を見出している。本点変異を有する遺伝子産物Xは、ヒト統合失調症に関与すること、細胞骨格を制御する因子であること、時計遺伝子産物の発現制御に関与することが報告されている。本年度は、課題1の結果をさらに深めるために、野生型Xと変異Xを動物細胞に発現し、これらの生化学的特性の比較を行った。その結果、細胞応答に重要な役割を果たすイノシトールリン脂質に対する結合能が両者で異なることを見出した。現在、本生化学的特性の違いが細胞応答に及ぼす影響を検討中である。また、複数の眼科医に声がけをして、遺伝子Xに変異を持つ2例目の患者を探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補遺伝子に見出された変異の細胞応答に及ぼす影響の検討に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
見出した生化学的特性と細胞応答への影響、表現型である周期性斜視との関連を見出すことが大きな課題である。
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Causes of Carryover |
生化学的解析が一段落しため、その実験に必要な抗体やキットの購入を控えたため、次年度使用額が生じた。新た局面に進展したため、人件費や打ち合わせや学会参加への使用を計画している。
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Research Products
(13 results)