2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of pathogenesis and development of new treatment for refractory vascular malformation syndrome by genetic analysis
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22K09849
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長尾 宗朝 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00364349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 明史 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (20772106)
尾崎 峰 杏林大学, 医学部, 教授 (60372926)
青木 洋子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80332500)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クリッペル・トレノーネイ症候群 / 脈管奇形 / 組織採取 / 遺伝子解析 / PIK3CA |
Outline of Annual Research Achievements |
クリッペル・トレノーネイ症候群 (KTS) は、片側の上肢または下肢のほぼ全体、またはそれ以上の範囲にわたる混合型脈管奇形(毛細血管奇形、静脈奇形、リンパ管奇形などを含む)が存在し、片側肥大を生じる疾患である。脈管奇形は、血管・リンパ管に生じる先天性の構造異常と機能障害を認め、胎児期に、血管やリンパ管に発生異常・分化異常が生じることで発症すると言われている。しかしながら、その原因については、解明されていないのが現状である。 近年、2020年に開催されたISSVA(国際血管腫学会)において、脈管奇形に関連する様々な症候群を中心に、遺伝子解析が格段と進んでいることが報告された。片側肥大を生ずる疾患をまとめて、PROS (PIK3CA-Related Over-growth Spectrum)と言った概念となってきている。本邦においては、これらの疾患に対する遺伝子解析の遅れも指摘されているのが現状であり、今回、KTSに代表される難治性脈管奇形に対する遺伝子解析による病態解明と新たな治療法開発について、 研究を進めていた。 倫理委員会の承認と、家族の同意の下、当院においてKTS患者のみならず静脈奇形などの脈管奇形の組織採取を行なっている。PIK3CAの遺伝子変異が見つかった症例もあり、さらに検体を増やしながら検討を行なっていく予定である。また、現在も、静脈奇形やリンパ管奇形はじめ、プロテウス症候群、青色ゴムまり様母斑症候群などの組織採取も順調に進んでおり、脈管奇形の全体像の解析ができることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理委員会の承認と、家族の同意の下、当院においてKTS患者や静脈奇形患者の組織採取を行なっている。その結果、PIK3CAの遺伝子変異が4例に見つかっている。その他にも、リンパ管奇形や静脈奇形においても解析を進めており、概ね順調な経過である。
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Strategy for Future Research Activity |
当院のみならずさらに共同研究施設である杏林大学形成外科からの検体輸送も始まっており、検体数を増やしつつ、それらの解析も進めていく。それぞれの表現型の違いなども含めた本邦における脈管奇形の総合的解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
組織採取した検体数も増えてきているが、今後、まとまった遺伝子解析に費用を要する見込みのため、そこに予算を使用する予定である。
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