2023 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of "quality" of autologous transplanted tissue focusing on postoperative functional recovery of sweat glands
Project/Area Number |
22K09852
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 顕太郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20569503)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 法子 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (10568017)
並木 剛 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (50401352)
加藤 小百合 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 特任助教 (70866839)
森 弘樹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80345305)
横関 博雄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (90210608)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 組織移植 / 移植組織の質的評価 / 汗腺組織 / 発汗機能評価 / 足底皮弁 / 自律神経支配 / 脱神経と神経再支配 / 虚血ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
【動物実験について】まず、SDラットで有茎足底皮弁移植モデルを作成した。6つのfootpadを含めた足底全体(足趾を除く)を皮島とし、内側伏在動静脈を血管茎として皮弁を挙上、腹部へ移植し生着を得ることに成功した。次に、様々な条件で足底皮弁移植を行い、移植された皮弁の発汗をミノール法で定量評価した。血管茎のみで脛骨神経を焼灼・切離した(脱神経した)個体群においては、移植後半年まで皮弁の発汗はなく、皮弁内の汗腺の壊死、もしくは無反応化が起こっていると予想された。脛骨神経を切離せずに移植した個体群においては、移植後4週間までに皮弁の発汗が見られた。脛骨神経を切離せず、かつ皮弁挙上後に血管茎を3時間クランプし虚血ストレスを与えてから移植した個体群においても、移植後2週間までに皮弁の発汗が見られ、虚血ストレスを与えていない個体群と発汗量に明らかな差を認めなかった。さらに、脛骨神経を一度切断し縫合した個体群においては、移植後6週間から皮弁の発汗が見られたため、皮弁内の汗腺は脱神経後に壊死するのではなく、無反応化していると予想された。また、神経縫合により自律神経が再生することが示され、自律神経の再生を生理学的に評価できる実験系が確立された。 【臨床研究について】遊離・有茎皮弁術後の患者において、移植された皮弁の発汗をミノール法で定量評価した。15例ほど評価したうちの半数以上で発汗が見られ、画像解析ソフトで皮島全体の面積に対する発汗部位の面積の割合(%)を算出したところ、皮弁術後経過時間との相関が見られた。また、再建時期(1次再建か2次再建か)や皮島の面積が皮弁の発汗に影響を与える可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
皮弁術後の汗腺機能の解析を行うための動物実験モデルは完成しており、生理学的な評価は概ね終了している。形態学的な評価がまだであり、それが概ね終了したら成果報告が可能である。臨床研究では想定よりやや速いペースで症例を蓄積しており、統計学的な検討が可能になりつつある。前年度はマンパワーの確保が不十分であったことなどから予定通りに研究を推進できなかったが、今年度より上記の問題を克服し、大幅に研究を推進することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ラットにおける皮弁術後の汗腺機能の生理学的な評価は概ね終了していると言ってよい。今後は実験個体数を増やし、免疫染色や3Dイメージングを含めた形態学的な評価も行い、生理学的所見の裏づけを取る必要がある。臨床研究も引き続き評価症例を増やしていき、皮弁の発汗に影響を与える因子について統計学的に検討を行う。
|
Causes of Carryover |
研究推進のマンパワー不足のため本研究の進捗状況はやや遅れている。初年度は主に各種審査申請と文献的検索に注力したため、支出額は非常に少なかった。 2023年度はマンパワーや研究体制は整備され、ようやく研究が進み始めた。まずは主に動物実験を先行して行い、そこで必要となる機器や実験環境を整備した。この年度で実験動物モデルは確立された。しかしながらもう一つの本研究の柱であるヒトを用いた実際の組織移植術後の汗腺組織の評価については、ようやく後ろ向き研究のデータが揃い始め、前向き研究のリクルートが開始された段階である。以上の経過から、使用額は当初の予定より下回った。 2024年度には、まずは確立された動物モデルを用い、異なる実験条件下での結果を積み重ねていく。またヒトを対象とする後ろ向き前向き研究の症例数を確実に増やし、さらに汗腺組織の立体的可視化の達成目標に向かってさらに研究を推進していく。対象者への謝金や新たな実験機器および試薬の購入などが予定されており、当初の計画通りに予算を執行していく予定である。
|