2022 Fiscal Year Research-status Report
emulsification(乳化)技術を用いた解剖体用脈管造影剤の開発
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22K09859
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 洋 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (20423329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木股 敬裕 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (50392345)
品岡 玲 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90724500)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脈管解剖 / 肉眼解剖 / 造影剤 / 乳化技術 / 界面活性剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、乳化技術により油脂性造影剤を水溶化しつつ着色、高い造影効果と低粘性、長期染色性を維持した造影剤の開発が目的である。本年度は、先行研究をもとにした新規造影剤(リピオドール+PEG-60水添ヒマシ油+精製水)の調製を行った。そして調製後の造影剤の経時的変化を観察した。新規造影剤は2週間以上の経過において乳化状態は安定しており、油性インクの着色状態も維持されていた。また、従来から脈管造影で用いられていた硫酸バリウム、水溶性ヨード造影剤、リピオドール、リピオドール+ジエチルエーテル、精製水との粘性比較実験を行った。粘性比較実験では、リピオドール単独の粘性が突出した値を示したが、リピオドールを乳化した新規造影剤は他の造影剤とほぼ同等の粘性を示し改善が確認された。また、リピオドール+ジエチルエーテルと新規造影剤において、同一のリピオドール濃度で造影効果に変化を生じるか否か検証実験を行った。その結果、溶媒となる精製水とジエチルエーテル自体のX線透過性の違いから、新規造影剤ではより低濃度で同等の造影効果が得られることがわかった。解剖体への注入実験では、新規造影剤を下肢末梢のリンパ管に注入したところ、そけい部まで連続した明瞭な造影効果が得られた。また、油性インクで着色した造影剤の注入では、X線解析とその後の肉眼解剖いずれにおいてもリンパ管の視認性は良好であった。一方、膜乳化技術による造影剤粒子径の調整に関しては、超音波ホモジナイザーによる乳化と異なり造影剤に対する界面活性剤の比率の調整が必要で、現在その最適な割合を模索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規造影剤の粘性や造影効果に対する評価が終了しており、進捗状況としてはおおむね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は超音波ホモジナイザーによる乳化を行っていたが、今後は粒子径を調節すべく乳化フィルターを用いた乳化と、インドシアニン・グリーンを内包したW/O/W乳化造影剤の調製を予定している。
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Causes of Carryover |
造影剤の性状評価が主体であり、当該年度に予定していた膜乳化技術による実験やインドシアニン・グリーンを内包したW/O/W乳化造影剤の調製が実施できなかったため残額が生じた。次年度はこれらの研究を行うため当該費用に支出する予定である。また、学会参加のための旅費を計上していたが、参加学会が当初の予定より減少したため差額が生じた。
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