2023 Fiscal Year Research-status Report
リンパ浮腫治療のための脂肪間質細胞改変型”Designer Cells”の開発
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22K09885
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
市瀬 多恵子 琉球大学, 病院, ポスドク研究員 (00396863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市瀬 広武 琉球大学, 医学部, 准教授 (10313090)
清水 雄介 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10327570)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脂肪間質細胞 / リンパ浮腫 / マウス / 移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪間質細胞、ADSCsは、細胞医薬として利用されるようになってきた。しかし、現時点では、細胞懸濁液での投与によるHit-and-Run型のレシピエント組織への一過性作用であり、投与・移植後のADSCsは短期間で急速に減少することが知られている。近年、ADSCsの治療効果を高めるために、移植法の検討や遺伝子改変を施したDesigned ADSCsの研究開発が積極的に進められている。本研究の最終目標は、リンパ浮腫治療効果を高めた”Designer Cells”の開発であるが、治療効果を高めるためには、レシピエント組織への持続的作用が効果的であると考えられる。そこで、今年度は、蛍光レポーター導入を行ったADSCsを用いて、移植したADSCsの生存性を高める移植法の検討およびレシピエント体内での細胞動態を検討した。 レシピエント体内において移植ADSCsを可視化するため、核移行型mCherryを発現させた。また、接着細胞の移植では足場への接着で生存性が上がることが知られているため、生分解性シートに播種しADSCシートを作成した。ADSCシートは、生後数日のマウスの皮下へ移植し、4、8、16日、1か月後にシートを取り出し、蛍光観察と免疫染色を行った。レシピエントより取り出したADSCシートを蛍光観察すると、移植後16日でも多くの細胞が生存していることが明らかになった。また、移植後1か月が経過しても、多くの細胞がCD90陽性のADSCとしてシート内に生着していることが免疫染色により明らかとなった。mCherryを発現させたADSCsは、免疫原となる可能性があるため、F4/80陽性のマクロファージおよびCD3陽性のT細胞の分布を調べたところ、cell-freeシートと同等であり、Designed ADSCシートの移植により強い免疫応答は起きていないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroの実験系では、ADSCsが血管新生を誘導することが知られているが、in vivoでの、ADSC移植による血管新生誘導の評価は殆どされていない。移植後4日目のADSCシートを、mCherry、および血管内皮細胞のマーカーであるVEGFR2に対する抗体を用いて免疫染色を行ったところ、Cell-freeシートでは血管内皮細胞の侵入が認められないのに対し、ADSCシートではシート内への血管内皮細胞の集積が認められ、in vivoでもADSCに血管新生誘導能があることが明らかとなった。ADSCシートを作製し移植することで、ADSCのレシピエント細胞への持続的作用が期待され、より治療効果を高めることができると考えられる。脂肪間質細胞の生存性を高めた移植法の確立が出来、血管新生の誘導が確認できたので、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞動態を可視化したADSCシートの移植では、血管新生の誘導は顕著であったが、移植後1か月が経過してもリンパ管新生は誘導されなかった。今後は、以下の実験を進める予定である。 1、リンパ管新生誘導因子を遺伝子改変により発現させたDesigned ADSCを作製する。 2、作製したDesigned ADSCを生分解性シートに播種してDesigned ADSCシートを作製する。 3、Designed ADSCシートを、生後数日のマウスの皮下へ移植してリンパ管新生誘導能があるかを検討する。 4、生後数日のマウスを用いたアッセイ系でリンパ管新生誘導が確認できたら、リンパ浮腫モデルマウスを用いて治療効果の有無を検討する。
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Causes of Carryover |
作製したDesigner Cellsの治療効果について、リンパ浮腫モデルマウスを用いて検討する予定である。用いる遺伝子改変マウスの凍結卵からの個体化を進めているが、当初の予定よりも個体化、繁殖に時間を要している。そのため、予算の一部を次年度に使用することとした。
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