2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒト脂肪幹細胞の陰圧負荷培養を応用した創傷治癒・血管新生効果の解明と応用
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22K09898
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
覚道 奈津子 関西医科大学, 医学部, 教授 (00509490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日原 正勝 関西医科大学, 医学部, 准教授 (00351536)
光井 俊人 関西医科大学, 医学部, 講師 (40449830)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 陰圧 / HUVEC / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
陰圧閉鎖療法は創傷治癒に有効であることが知られているが、陰圧が組織修復を調節するメカニズムは不明なままである。肉芽組織を形成するためには、血管新生が必須であり、そのためには血管内皮細胞の増殖・遊走が不可欠である。陰圧下での血管新生促進は、創傷治癒を促進する重要なメカニズムであり、NPWT治療の特徴である肉芽組織の形成に重要なパラメータであると思われる。本年度はまず、陰圧によるHUVECの増殖への影響を調べた。 プレートに播種したHUVECを密閉容器に入れ、蓋をしっかりと閉めてから、臨床でNPWTに使用されているRENASYS TOUCH (Smith & Nephew Co., Watford, UK) を接続した。密閉容器を37℃の5%CO2インキュベーターに入れた。圧設定を-120mmHgとし、連続的に陰圧をかけた状態で培養した。気圧下で培養した対照群に比較し、陰圧下で培養した細胞の増殖は、前年度の結果により。大気圧群と比較して陰圧群で1.2倍に増加した(p < 0.05)。 本年度はRNA-Seqによる解析を行い、陰圧をかけることにより発現が増加または減少するRNAを検索した。陰圧培養群の遺伝子発現をコントロール群と比較したところ、有意差を認めた遺伝子は94個であった。そのうち、67個の遺伝子発現が増加、27個が減少していた。Go解析ではangiogenesis, extracellular matrix organization, blood vessel development, tube morphogenesisなどの血管形成に関わる遺伝子群の変動を認めた。それらの増減はヒートマップ解析で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
適切にRNAを抽出することができ、RNA-Seqによるデータ解析が可能であったため。培養48時間後のHuvecサンプル(n=3)からtotal RNAを抽出し、発現遺伝子の網羅的解析を行ない、全転写物の塩基配列の決定、得られたリード配列の参照配列へのマッピング、転写物のアセンブリング、発現レベルの算出、サンプル間での発現レベルを比較した。さらにヒートマップ作製やGo解析をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-sequenceで発現が増加した遺伝子が実際に発現しているかを、48時間培養のサンプルRNAを用いてq-RT-PCRで再検証を行う予定である。 また、同様の実験条件で、創傷治癒アッセイ、Tube formation assayも行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験のための試薬が品切れで、海外取り寄せの商品があり、実験遂行が当初の予定よりも遅れたため。
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